その手に触れて、永遠に。17(大宮) | ニノのこと♡少し韓国♡妄想小説♡日々の出来事を綴ったブログ

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17



二宮は、仕事を休んでいた。

熱は下がったがまだ、体がふわふわしているような気がした。


昨日の事もあるし何となくみわと顔を合わせるのが嫌だった。


それに…


大野さんの顔を見れば見るほど、好きになっていく自分も怖かった。

『気持ちは伝えない』みわにはそう言ったけど、やっぱり。

オレの気持ちを知って欲しい。

いつの間にか、そう思うようになっていた。

好きになりすぎるのも怖いけど、気持ちは伝えたい。

矛盾しているのかな(笑)


そんなことを考えていたら大野さんに、会いたくなった。


やっぱり店に行こうかな。


でもな。


ベッドの上でそんな事を考えているとまだ体の調子が整わないせいか疲れていたのか…


眠ってしまったみたいだ。




遠くで何か音が聞こえる。


…ポン

ピーン…

ピーンポーン


ん?インターフォン?


二宮は重い体を起こしてベッドから下りた。


ドアをそっと開ける。


薄く開けたドアの隙間から覗くと見覚えのある顔が見えた。



「大野さん!どうしたの?」


「いや…体調どうかな?って。」


「あぁ、まぁ大丈夫です。」


「何度かスマホも鳴らしたしインターフォンも鳴らしたんだけど、返事がないからさ。」


「えっ?」


二宮は、慌ててスウェットのポケットに入っていたスマホを見た。


あ、着信が5件…

LINEも…


気付かなかった。


「あの…でもどうして?」


「ちょっと心配でLINEしてみたけど既読にならないし電話したんだけど、出ないし…」そう言ってちょっと笑った。


二宮は、大野を部屋へ上げた。


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数時間前―


「智くん、別れよっか…」


大野は、えりかのその言葉を受け入れた。


結局、約束したことは果たせなかった。


ずっとずっと一緒にいるって。


約束したのにな。



「私、別れても智くんの事好きでいると思う。いつか私の所に戻って来てくれるって。そう思ってるから。」


えりかは、なにかを吹っ切ったように大野を見て笑った。


「…約束果たせなくてごめんな。」


「もう、いいの。智くんは、好きな人のところへ行ってあげて。まだ体調良くないんじゃない?」


「…うん。」


「私はみわの様子見に行って来るから。」


「あ、あぁ。分かった。」


えりかは、「また明日」と言って何事もなかったかのように店を出た。



大野は軽く片付けてから、店から二宮にLINEをしてみた。

しばらくしても返事がないので何度かLINEしてみたが、やっぱり返事がなかった。


電話も入れてみたが出なかった。


また、熱でも出して寝てるかな。


大野は急いでアパートまで行ってインターフォンを鳴らした。


出ないな…


今、カズに会ったら自分の気持ちが抑えられなくなりそうだ。


そう思った。


でも、会いたいと言う感情がどんどん湧いてくる。


何度かインターフォンを鳴らすとドアが薄っすらと開いた。


「大野さん!どうしたの?」


俺は事情を説明して部屋へ上げてもらった。

部屋にある小さなテーブルの前に座った。
その向かいにカズが座る。


「あの…お店休んでばかりですいません…」


「うん。大丈夫だよ。それより熱は?」


「もう、大丈夫みたい。」


「そっか。」

なんだか二人きりで何を話していいのか。


「あの、大野さん…今日はお店は?」


「今日は、臨時休業にしたんだ。」


「そっか…」

向かいに座っているカズの側に行きたくてゆっくりと立ち上がって目の前に座った。


「カズ…そう呼んでもいいよな?」


「なんか、ずっとそう呼んでたって。オレ、病院に行くまでの記憶が曖昧で…よく覚えてなくて」


「すごい熱でうなされてたからな。」


「そっか…オレそんなに…」


「カズ、俺さ、えりかと別れたんだ。」


「えっ?そうなの?」カズが瞳をクルクルして俺を見た。


「うん。えりかに言われたんだ。」


「なにを?」まだ茶色い瞳をクルクルとして俺を見る。


「俺に好きな人がいるってそれに気付いたって。」


「…好きな人?大野さんに?」


俺は、自然と気持ちを伝えていた。


「カズ…おまえだよ。好きなヤツ。」


「………」

カズは、茶色い瞳を俺に向けた。
俺の瞳をその茶色い瞳でじっと見つめてきた。


カズの手を取って「好きなヤツはカズなんだ。」


俺は、そう言ってカズの手をギュッと握って自分の方へと引き寄せて抱きしめた。


やっと、こうする事が出来た。


「大野さん?」


カズがびっくりしているのが分かったが俺は止めることが出来なかった。

カズと、出会ってからずっとこうしたかったのかもしれない。


触れたいって…そう思っていたのかもしれない。




オレは、大野さんに抱きしめられて嬉しいけどものすごくびっくりした。


そして、


「大野さん?オレも同じ気持ちだよ。」


そう言った。



続く

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