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『言いたいこと。』和side~
翔ちゃんが訪ねてきてからタイムカプセルの事は一切話して来ない。
言いたい事は、きっとその事のはずなのに。
俺もその事に触れるのが怖くて全く違う話をしてしまった。
昔は二人でいても楽しくて話さなくても隣にいるだけでも良かったのにな。
男二人でマンガ本読んだり。ゲームしたり。
お互いに落ち着いた大人になったって事か。
お弁当も食べ終わって俺はコーヒーをいれた。
「翔ちゃん、コーヒーでいい?それともビール?」
「うん。コーヒーでいいよ。ごめん、ビールも買ってくれば良かったな。」
「うん。いいよ、お酒抜きで話したい。」
「うん。」
お互い黙ってしまった。
「あのさ。」
翔ちゃんが俺の顔を見た。
「うん。分かってる。」
俺はコーヒーを一口飲んだ。そして会話を続けた。
「タイムカプセルの事でしょ?翔ちゃんが話したかった事。」
「まぁ、ね。」
俺は翔ちゃんの顔をまともに見れなかった。
嘘をついたことを今更後悔した。
「ごめん。俺、嘘をついて楓と会った。」
俺は両手を合わせて頭を下げた。
「なんで?俺に声掛けなかったの?なんで、俺が来れない事になったの?」
下げた頭をそっと上げて翔ちゃんを見ると腕組みをして不機嫌そうに俺を見ていた。
「ごめん。」
「俺は謝って欲しくて来たんじゃないよ。理由を聞きに来たんだ。」
「そうだよね。ごめん。」
「だからなんで?」
「あ、えっとごめん。あの…」
俺はしどろもどろになってしまった。
«楓と二人で会いたかった。»
そう言えば終わる話しを俺は謝ってばかりで言い出せなかった。
「謝るのは終わり。」
翔ちゃんは少し強い口調で言った。
俺はなんて答えようか考えていた。
続く