5
しばらく泣いたあと、私は出掛ける準備をした。
泣いてちゃダメ...
さっき翔にそう言われた。
お昼過ぎの暑い外、眩しい。
私は友達がいるはずの和也の家に向かった。
今日ちゃんと話そう。
和也の家の前。
ドキドキしながらインターフォンを押す。
しばらくするとバタバタと音がして和也が出てきた。
「どうも。」
「どうしたの?」
「うん...友達まだいる?」
「いるよ。」
「入っていい?」
「うん。」
部屋に入ると友達がいた。
「どうしたの?」
「ちょっと話しがある。」
「なに?急に...」
「あの...俺 邪魔ですかね?」
「大丈夫。ここにいて。」
和也は「分かった」と二人を見て返事した。
「なに?どうしたの?」
友達が私を見る。
和也もキョロキョロと私達二人を見てる。
私は深呼吸してから言った。
「私ね、好きな人がいるの。」
「知ってるよ、翔くんでしょ?」
「違うのっ」
「はっ?だって、昨日だって一緒に帰ったじゃん?」
「でも...違うのっ!」
「じゃあ、誰?」
「あのね...」
「待って、まさか。二宮くんじゃないよね...?」
私はチラッと和也を見た。
和也は私をチラッと見て目を逸らした。
すごいドキドキしていた。
だってこれって、よく考えたら和也に告白してるようなもの。
それでも、ここまで来たら引き下がれない。
私は思い切って言った。
「そうなの!私の好きな人って...」と言いかけて
ピンポン、とインターフォンが鳴った。
タイミング悪っ
「あっ、誰だろうな。ちょっと待ってて。」
と和也は玄関の方へ行ってしまった。
「で?二宮くんなんでしょ?」と友達は私に小声で聞いてきた。
私は小さく頷いた。
「そうなんだ...///」
「そうだったんだ。全然気付かなかった。」
そりゃそうだ。
気付かれないようにしてたんだから。
「でも私、今日は二宮くんに告白しに来たんだよ。」
「え...?」
そこへ和也が戻って来た。
「新聞の勧誘がしつこくて...。で?続きをどうぞ?」
と、手のひらを私の前に出してどうぞっとやる。
「もう、話しは終わったよ」
友達がそう言って私と和也を見た。
和「えっ?」
私「まだ...終わってないよ。」
友達「もう、終わり!」
和也「ん?」
仕方ないか…
「私、帰るね。」
私「和也、ごめんね。突然来て。またね。」
和也「うん...じゃあまた。」
私は和也の家をあとにした。
続く