花火
「ねぇ、花火やらない?」
電話口ではしゃぐ君。
「ん?花火?」
「そう、線香花火。」
「ふふ、まだ昼間だよ?」
「んー、今じゃなくて。夜になったら、ねっ?」
「いいよ。」
電話の向こうで笑う君の声を聞いて君を愛おしく思った。
夜になり家を出て待ち合わせの公園へと急いだ。
誰もいない公園。
二人でひっそりと線香花火に火を付けた。
小さい炎は徐々に大きくなる。
俺の君への気持ちと同じ。
最初は小さかった君への気持ち。
今はこの炎のように小さく熱く燃えている。
「ねぇ、この線香花火が落ちなかったらさ...」
「何?」
君がそう言った途端に線香花火の玉が落ちた。
「あっ...」
「落ちちゃったね...(笑)」
「打ち上げ花火っ」君が驚いて俺を見た。
「俺も花火好きだよ。」
そう言うと俺は君を自分の方へ引き寄せた。
「うん...」
もう一本の線香花火に火を付けようとした途端。
大きな音がした。
「打ち上げ花火っ」君が驚いて俺を見た。
「そっか、今日は花火大会だったね。」
二人がいる公園からはとてもよく見えた。
「ねぇ、こっち見て。」
君がそう言ったから俺は君を見た。
その瞬間、唇が触れた。
「好きだよ。」
「えっ?」
俺は聞こえてるのに聞こえないふりをした。
「好きだよ、花火。」
君はそう言って笑う。
その時もう一度大きな音がした。
「俺も花火好きだよ。」
そう言うと俺は君を自分の方へ引き寄せた。
君の唇に優しく触れる。
「俺は花火も好きだけど、君も好きだよ。」
唇を重ねると恥ずかしそうに君は はにかんだ。
「私も...花火の次に好き。」
「えっ?花火に負けたの?(笑)」
「ふふふ」
可愛らしく笑う君ともう一度線香花火に火を付けた。
今度は落ちないように。
願いながらゆっくりと小さな炎を見つめた。
「来週の花火大会は一緒に行こうね。」
「うん。」
俺の中の小さな線香花火みたいな炎は君への想いと繋がって消えることはなかった。
好きだよ、この一言がようやく言えた日。
夏の日の思い出。
あの日があったから今でも隣に君がいる。
今、書いてるお話しも花火大会の事が出てきます
ではまた
つまらない妄想話しを最後まで読んでいただきありがとうございますm(*_ _)m♡