すると受け付け辺りでウロウロしている女の子がいるのが見えた。
あれ?誰だろ。
そう思っていると後ろから声がした。
「こんな所まで来るなよ。」
振り返ると二宮くんだった。
彼は私を追い越し女の子の元まで歩いて行った。
「だって。これ、忘れて行くんだもん。」
女の子は小さな紙袋を彼に渡していた。
「あー、ごめん。忘れてた。」
そのやり取りを見て、妹かなと思った。
私が見ていると女の子がこちらに気付いて小さく会釈した。
それに気付いて彼も私に気付く。
「あ、この前言ってた妹。」
ちょっと面倒くさそうに私にそう言った。
「可愛いね。」
私がそう言うと二宮くんの妹は私に近付いて来た。
「あの、お兄ちゃんの彼女ですか?」
「えっ?違うよ...」
「本当に?」
彼女は疑うように私を見た。
「うん。大丈夫、違うから。」
その妹は私の前で二宮くんと腕を組んだ。
「良かった。お兄ちゃんに悪い虫が付かないか心配なんです。」
「ちょっと、やめろよ!」
彼は嫌そうに妹が絡めている腕を解いた。
「うふふ、お兄ちゃんの事大好きなんだね。」
私がそう言うと女の子は大きく頷いた。
「当たり前です。お兄ちゃんに近付く悪い女は私が許しません。」
「はぁー、だから!そう言う事言わないでくれる?」
「だって。」
「はいはい。分かったからもう帰って。今仕事中。」
「もぅ、分かった。」彼女は少し頬っぺを膨らませた。
そして、もう一度二宮くんの腕に自分の腕を絡ませた。
「だから、やめろ!」
「だって...。」
「仕事だから、ねっ?」
「分かった。」彼女は少し残念そうにビルの出入口まで歩いて行った。
「あ、お弁当ありがとね。」
二宮くんが彼女にそう言うと女の子は嬉しそうにニコッと笑った。
それからゆっくりとビルから出て行った。
「ごめんね。」
二宮くんは私に謝った。
「いいよ、別に。」
「なんか本当にうるさくてさ。」
「妹さんいくつ?」
「まだ、高校生。困るよ、本当に...」
「そっか。お兄ちゃん大好きで心配なんだよ。」
「いや...でもさ。」
二宮くんは困った顔をした。
そして、私はもっと困った事があった。
妹に嫉妬している自分がいた。
どうして.....?