私はいつものように会社へ行く。
いつも通りにしてるけど、本当はドキドキしてる。
昨日の彼は何だったんだろう。
「おはよ。」
「あ、おはよう...ございます。」
「なんで敬語?」
「えっ?あ、ごめん...」
どうしてもよそよそしくなってしまう。
仕事中もいつも通りにしてくる彼。
「あの、これコピーお願いしてもいい?3部ずつで...」
「あ、うん。」
彼が話しかけても目を合わす事が出来ない。
いったい昨日は何だったの?
なんでそんなふうに何でもなかったようにしてるの?
何だか胸が苦しい。
お昼になって1人ランチに出た。
1人で歩いていると後ろ彼が走って追いかけて来て話しかけられた。
「1人ランチ?」
「あ、うん。今日は1人だよ。」
「じゃあさ、行きたいカフェがあるんだ。」
そう言って彼は私の手を引いて歩き出す。
「ちょっと...」
「何?」
「ううん。別に...。」
どうして、私と手を繋ぐの?
聞きたいけど聞けない。
「ここ。前から来たかったんだ。」
「そうなんだ。」
「男1人だと入りにくいし(笑)」
「私のこと使ったの?」
「ごめん...そんなつもりじゃないよ。」
彼の笑顔はズルイ。
「なんか、迷惑?だった...?」
「そんな事...ないよ。」
「なら良かった。」
「うん...。」
しばらく経って二人の頼んだものがテーブルに届く。
食べていても何となく落ち着かない。
ちょっと聞いてみようかな...
「ねぇ、この間のさ...」
「何?」
「あのさ...」
「だから何?」
彼は少し不機嫌になって私を見た。
私は、それ以上聞けなくて「何でもない」と言ってまた食べ始めた。
食べ終わると彼は「じゃあ、先に行くね。」と行ってしまった。
もう、何なんだろう...
午後からもさっきのの事はなかったように普通に仕事をする。
彼が気になって見てしまう。
「何?どうした?」
「ううん。何でもない。」
その日は残業もなしで帰宅した。
帰ると彼が笑顔で待っていた。
「おかえり。」
「た、ただいま。」
「どうしたの?」
「ん?何が?」
「いや、別に...。」
彼は気付いている。
昨日から私が落ち着かないことを。
「ご飯は?」
「うん。食べる。」
「良かった。今日早かったからちょっと作ってみたんだ。」
「本当に?!すごい。」
テーブルには不器用ながらにも野菜を切って作った野菜炒めが置いてあった。
「ご飯も炊いたんだ。」
「翔ちゃん、すごい。」
「美味しい?」
「うん...」
味はしょっぱいし、ご飯は固すぎて美味しくはなかった。
でも、翔ちゃんが一生懸命作ってくれたご飯。
私...何やってるんだろう。
私...
いつの間にか、泣いていた。
「ちょ、どうした?そんなに不味かった?」
「違う。違うよ、翔ちゃん...」
気付かないうちにポロポロ泣いていた。
私、どうしたらいいの?