次の日、斉藤はまたそれぞれを迎えに回った。
一番最初は大野のマンションへ。
「おはようございます。」
「大野さん、荷物それだけですか?」
斉藤は大野の荷物が少ないのに驚いていた。
「あ、はい。これだけ(笑)」
大野は少し笑った。
それから松本、相葉、二宮と順番に回って最後に櫻井のマンションの前へと着いた。
5人を乗せ無事に空港に着いた。
「では、ここからは5人で行って下さいね。」
「あれ?斉藤さん行かないの?」
大野が驚いて斉藤を見た。
「いや。本当にプライベートなんでここからは5人だけで。大丈夫ですよね?」
「はい。」
5人は大きく頷いた。
斉藤は、飛行機が無事に飛んで行くのを見ていた。
「無事に行ったようだね。」
後ろから声が聞こえて驚いて振り返った。
「社長っ!」
「ちょっと気になってね。」
そう言って微笑む。
「なんか本当にすいません。無理言ったみたいで。」
斉藤は頭を下げた。
「いや、いいんだよ。松本くんね。本当に熱心でね。」
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トントンっ!
ドアをノックする音がしたので「どうぞっ!」と言うとドアを開け入ってきたのは松本だった。
「えっと、松本くんだね。どうしたんだね?」
「お願いがあって来ました。」
「ん?」
「あの...旅行に行かせて下さい!」
そう言って深々と頭を下げた。
「また、唐突だな。旅行って?」
「5人で5人だけで旅行に行きたいんです。」
「また、それはどうして?」
松本は社長に今回の相葉の監禁事件の事、大野が怪我をしてしまった事。
すべてを話した。
そして、相葉がまだ心に傷を負っている事や辛い気持ち。
相葉をのんびりさせてあげたい。
5人だけで過ごしたい事。
必死に訴えた。
社長は一瞬、顔をしかめたが「分かった。」と言った。
「いいんですかっ?!」
「まぁ、ダメだと言っても行くんだろう?」
「はい!」松本は元気よく返事をしてしまって「あっ!」と口に手を当てた。
「あはは、正直だね、君は。」
「すいません。」
「いいよ。行っておいで。その代わりしばらく留守にしても大丈夫なようにスケージュール組んでよ。」
そう言ってニヤっと笑った。
松本はその時社長がニヤっとした意味が分からなかったが、あとになってその理由が分かった。
一週間も留守にするんだ。
ちゃんと留守にしてる時の分まで収録をしておかないといけない。
そのスケージュールが半端なく忙しかった。
櫻井が「殺人的スケージュール」と言っていたがまさにその通りだった。
でも、みんなが頑張ったおかけでどうにか一週間のオフをもらえた。
斉藤は、青い空に飛行機が無事に飛んで行くのを社長と見届けた。
「楽しんでおいで。」
ポツリと、そう呟いた。
飛行機の中ではさすがに今までの疲れもあったのか5人とも静かに眠っていた。
しばらくして相葉はふっと目が覚めた。
窓の外を見ると日本が小さく見えた。
あの日、自分が置かれた状況を考えると不思議だった。
生きた心地がしなかったあの時。
今は本当に生きていて良かったと思える。
あれから高橋とは時々メールをし合うまでになった。
あんな事があっても高橋を許す事が出来たのは美紀がいたからだろう。
美紀が俺たちをまた繋いだ。
お土産、買って帰るからね。
小さくそう呟いた。
窓の外には綺麗な空が広がっていた。
続く