斉藤は、一人ずつ順番に家の前に彼らを降ろす。
「翔ちゃん、明日ね。」
「うん。また明日。」
手を振って別れた。
そうやって順番にバイバイして最後に大野が残った。
「みんな降りちゃって寂しいですね。」
斉藤がルームミラー越しに話し掛ける。
「あー、まぁ。」
疲れているのか少しウトウトしていた。
斉藤はマンションに着くまで寝かせてあげようとそれ以上話し掛けるのをやめた。
静かな車内。
エンジンの音だけが響く。
曲がり角で曲がった時に横に揺れた拍子に大野が起きた。
「んー。寝ちゃってた(笑)」
「いいですよ。まだ時間あるし寝てて下さい。」
ミラー越しに大野を見た。
「うん。」
しばらく窓の外を見ていた大野が口を開いた。
「斉藤さん、なんか悪かったね。」
「えっ?」
「いや、松本が無理言ったみたいだし。俺さ、リーダーなのになんにも知らなくて。怪我はしちゃうし...」
「大丈夫ですよ。私もみなさんに少し長い間お休みをあげたいと思っていましたし。」
「でもさ、大変だったでしょ?スケージュールもキツキツになっちゃって。」
「まぁ、確かにね。」
「だよね。本当に申し訳ない。」
「いいんですよ。相葉くんを少しのんびりさせてあげたいって。松本くん、本当にみんなの事を考えてますよ。まぁ、返って忙しくなっちゃいましたがね(笑)でも、明日からはのんびり出来ますしね。」
「そうだな。本当は俺がそうしなくちゃいけないのにな。なんか、リーダーらしい事、なんにも出来なくて(笑)」
「大野さんはそのままでいいんです。」
「そう?」
「そうですよ。」
「そっか...。」
「はい、そうですよ。ほら、着きましたよ。いいですか?大野さんはそのままでいいんです。あまり考え込まないで下さいよ?」
「うん。分かった。じゃあね、斉藤さん明日またお願いします。」
大野も車から降りてマンションの入り口へと入って行った。
それを見届けると斉藤は車を発進させた。
さて、明日はみんなを空港まで送らないとな。
斉藤は家路へと急いだ。
大野は、自分のマンションへと帰ると荷物をガサっとソファーに置いた。
明日の荷物を少しまとめないとな。
一週間か。
どのくらい必要かな。
小さな鞄に荷物を詰めてみた。
んー・・・
足りないかな。
まぁ、向こうで買えばいいか。
大野は、適当に荷物を詰めるとシャワーを浴びてからベッドに入った。
明日。
明日本当に行くんだな。
みんなはもう眠ったかな。
大野は静かに眠りについた。
続く