松本は急いで病室を飛び出してそれを櫻井が追い掛けた。
「待って、潤くん。見つけたって、どういう事?」
そう言いながら松本を追い掛ける。
松本はエレベーターの隣に階段があるのを見つけて上へと上った。
階段をいくつか登りきるとドアがありそこを開けると屋上だった。
病院の大きさと同じ広さの屋上。
洗濯物もいくつか干してあった。
遠くに人影が見える。
「翔くん、ほら?」
松本は人影の方を指さす。
「えっ?雅紀?」
「行こう。」
松本はなんの迷いもなく人影の見える方へ歩いて行った。
櫻井も後に付いて歩いた。
人影はだんだん良く見えるようになって顔や髪型がはっきりとしてきた。
やっぱり相葉だ。
櫻井も松本も相葉だと分かると急に嬉しくなり走り出した。
「雅紀っ!」
松本が駆け寄ると相葉も気付いてこちらを見た。
「潤くん!翔ちゃん!どうしたの?!」
「どうしたの?じゃないでしょ?」
松本より後に着いた櫻井が息を切らしながら言った。
「雅紀いなくなっちゃうから。心配して探したんだよ。」
松本が相葉を見た。
「そっか、ごめん。」
「もう、大丈夫なの?」
櫻井が聞いた。
「ん?」
「いや...美紀ちゃんの事とか...」
「あっ!さっき潤くんを見かけた気がしたんだ!だからか!探してくれてたんだよね。」
相葉はそう言って笑った。
「ちょっと、答えになってない...(笑)」
櫻井は笑った。
松本も櫻井の顔を見て笑った。
雅紀らしいね。
本当。雅紀らしい。
もう、大丈夫なのかな。
分かんない。
どうかな。
松本と櫻井は小さな声で会話した。
三人は空を見上げた。
「綺麗な空だね。」
相葉が空を見上げながら言った。
「うん。青くて澄んでる。」
松本がそう言って小さく微笑む。
相葉が小さく口ずさんだ。
「♪Oh Baby blue 泣き出しそうな空が見てる どんなことだって全て知ってる
出会いと別れを繰り返しながら 回り続けてる♪♪♪」
「ちょっと、それ俺の歌(笑)」
松本は相葉を突っついた。
「いいじゃん。なんか空見てたら歌いたくなったの。」
相葉が笑った。
「あはは、なんで急に?(笑)」
櫻井も笑った。
「あは、なんか空見てたらさ、急に思い出した曲が松潤の歌だったの。」
「そっか。でも泣き出しそうな空ではないよね?(笑)」
松本は相葉を見た。
「うん。そうだね。」
「だよね。」
「ごめんね、探してくれたんだよね?高橋からも電話があったんだ。探してるみたいだって。潤くんと翔ちゃんの事だったんだね。なんか心配掛けちゃって...ごめん...」
「謝らなくてもいいよ。」櫻井は相葉の顔を覗き込んだ。
「本当はさ、自分のせいなんじゃないかって。いろいろ考えて...あの場所に行ってみたんだ。美紀がいたかもしれない場所へ。でも、考えても答えは出なくて...そしたら、みんなに会いたくなっちゃって...」
空を見ながらそう言った相葉の頬に涙が伝っていた。
「雅紀?」
「ごめん。いろいろ思い出しちゃって...」
松本がそっと相葉の背中に手を回した。背中に回した手とは反対の手で頭を撫でた。
「もう、大丈夫。大丈夫だよ。雅紀。」
櫻井もそっと相葉のそばに来て背中をさすった。
なんの言葉がなくても心が通じ合う。
三人はしばらくそうしていた。
綺麗な青い空が三人を見ているようだった。
続く