相葉は高橋のそばにしゃがみ込み
「ちゃんと教えてよ。俺が何かした?」
と、顔を覗き込んだ。
「本当は、相葉は悪くないのかもしれない。ずっと苦しかったんだ。あの日、相葉と再会してから俺の苦しい気持ちが弾けた。すべては相葉のせいだ。そう思った。相葉との思い出が蘇ってますます許せない。そんな気持ちで...」
「俺知らなかったんだ。美紀の事。なんでもっと早く言ってくれなかったんだ。」
相葉がそう言うと高橋は立ち上がった。
「ごめん。誰にも言いたくなかった。相葉にも。あんなに好きだったんだ。なのに最後は最後は...ちゃんと動いてる美紀を見たのはあのコンサートの日が最後で相葉がコンサートで見た美紀が最後で...」
「俺、この病院で寝てる時何度も美紀の夢を見たんだ。楽しかった、美紀と三人で。」
相葉はそう言いながら涙を流した。
「夢?美紀の?」
「うん。美紀と高橋と俺とまだ高校生だったよな?」
「楽しかったよな。」
高橋は相葉を見た。
「俺...あの時、美紀と高橋でコンサートに来て欲しいって思った。美紀が好きなのは高橋だって分かってたから。俺じゃないのは分かってたから。美紀、前に言ってたんだ。俺にだけ、気持ちを教えてくれた事があって。ずっと好きなんだって。」
たまたま高橋が風邪で休んだ日。
美紀は学校の屋上にいた。
『美紀?こんな所にいた。何してんの?』
『相葉くん!よく分かったね、ここにいるの。』
そう言って美紀は屋上の柵に寄りかかった。
『たまにここに来て空を眺めてたの知ってたんだ。』
『そうなの?なんで?』
美紀は不思議そうに俺を見た。
『ごめん。一度だけあとをつけた(笑)たまにいなくなるでしょ?美紀?』
『ふふ、たまにね。一人になりたくて。』
美紀は空を見上げた。
『綺麗だね。青くて。』俺も見上げた。
『相葉くん。私の秘密聞いてくれる?』
『何?秘密って?』
俺は空を見上げたまま聞いた。
『私、ずっとずっとずーっと高橋くんが好きだった。今も。ずっと片想い。』
そう言いながら涙を流した。
俺が空を見上げるのをやめて美紀を見た時。
美紀は空を見ながら泣いていた。
『ちょっとっ!美紀?』
『ごめん、大丈夫。だって高橋くん。直樹ね、勘違いばっかりしてるの。私はいっつも直樹の友達が好きみたいだよ。直樹、ずっとずっとずーっと勘違いしてる(笑)だから永遠の片想い。』
美紀は泣きながら笑っていた。
その時思いついたんだ。
二人でデート出来ればって。
それで美紀にチケットを渡した。
二人でデートして、気持ち伝えなよって。
美紀は喜んでた。
頑張ってみる!って。
「だから、あの日一人でコンサート会場に来ていた美紀が気になっていた。でも、メールに気付かなくて俺...久しぶりに学校へ言ったら留学したって。家に行ってもいなくて。」
俺のせいだ...
俺の...
「高橋、ごめん。俺が早くメールに気付いてたら...。俺のせいだ...」
相葉は美紀の元へと行った。
そっとその頬に触れた。
ごめん...
ごめん...。
続く