5人の空51 | ニノのこと♡韓国♡妄想小説♡日々の出来事を綴ったブログ

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51



白石が、行ったあと三人は病室に戻った。


「ねぇ、やっぱり俺が悪いのかも...」
松本が唐突に櫻井と大野を見て言った。



「何?どうしたの?」
櫻井が不思議そうな顔をした。



「いや...」



「何?」大野も松本を見た。



「俺が雅紀を病院に行くまで見届ければ良かったんだ。リーダーに呼ばれて自宅に戻ったから。カズに雅紀を頼んで二人残して来たんだ。」


「ちょっと待って。何それ?オイラが悪いの?潤くんに電話したから?」


「いや...そうは言ってない。二人を残してきたのは自分の判断なんだし…」



「でも、カズは自分の意思で行ったんでしょ?」櫻井が松本を見る。


「でも...自宅に戻る前に高橋から電話があったんだ。雅紀のスマホが鳴って...俺そのままにして来ちゃって。雅紀のスマホをそのまま置いてきて、カズに雅紀を頼むって、不安そうにしてるカズを置いてきた。だから...俺の責任でもあるんだよ。カズになんかあったらさ...」


松本はそう言いながらその場にしゃがみ込んだ。



「なんで?それならそう言ってくれたら良かったのに、なんで戻って来たの?オイラなんかほっといてくれたら良かったのに...アイツ本当にバカだな...なんでわざわざ...」



「本当に...なんでわざわざ犯人の所になんか。アイツ...バカだよ。何やってんだよ!」

櫻井は悔しそうに頭を抱えた。



三人は二宮が今どういう状態でどういう環境にいるのか...


相葉のような事になっていないか。


心配でならなかった。


その時「んっ...どうして...なんで...」と相葉の声が聞こえてみんな我に返った。


「雅紀!」

松本が駆け寄った。


「大丈夫?どうした?」


手を取って顔を覗き込む。


しばらくするとうっすらと目を開いた。


「相葉ちゃん!」


大野が呼びかけると微かに「リーダー・・・?」と言った。


ゆっくりと首を左に動かす。


大野が立っている方を見てゆっくりと目が開いた。


「起きた!起きたよ!」

大野は思わず声を上げる。


松本は握っている手に力を込めて

「大丈夫?どこか痛くない?」

心配そうにそう言った。


相葉は目を開けてしばらく天井を見ていた。


握られていない方の手で呼吸機のマスクを外す。


「...ここ、どこ?」


「病院だよ。」

相葉は声の方に首を向ける。


「翔ちゃん...?なんで?」


「体は痛くない?」


「潤くん?どうして?」


「覚えてないの?俺とカズであのアパートから逃げて来たじゃん?」


「えっ?アパート?」


「タクシーに乗って、翔くんのマンションまで行ったよね?水が欲しいって言うから...水も飲んで...それで...」

松本はそこまで言ってやめた。相葉が不思議そうに松本を見ていたからだ。

そして、握っていた手も布団に入れてあげた。


「えっ?何?それで?誰が?」



三人は顔を見合わせた。


覚えてないのか?


「とりあえず先生呼ぼう。」櫻井はナースコールを押した。



三人の中に不思議な空気が流れる。


覚えてない...


あんな目にあって、覚えてない?


櫻井は眉間にシワを寄せた。


でも、そうだ。


前に取材でそんな事を勉強した事があった。


心的外傷で一時的に記憶が喪失する。


相葉はそれなのか?


いろいろ考えているとドアをノックする音が聞こえた。



「はい、どうぞ。」

松本がドアの方を見て言った。



白石が入ってきた。



「相葉くん、目を覚ましたって?」



「はい、それが...」


「ん?櫻井くんどうした?」


「覚えてないみたいで...」


「ん?どういう事?」


「俺とカズでアパートから逃げて来たこと覚えてないみたいです。」


「そうか...」


白石は相葉の顔や体を触って聴診器を当てると胸の音を聴いた。


「んー、体には異常はなさそうだね。肋骨は...レントゲンまだ撮ってなかったね。まぁ固定しておけば大丈夫かな。」

そう言って病院の寝間着をまくって胸の様子を診た。


「あの...どこの病院?俺、どうしたの?肋骨も?」

相葉は白石に不思議そうに聞いた。


「うん。君はね、過酷な状況にいたんだ。でももう大丈夫だからね。しばらくゆっくり休んで。」


「過酷な状況?何?」


相葉はベッドの周りにいる三人を見た。


「本当に覚えてないの?」

松本が聞いた。


相葉はベッドのうえで首を横に小さく振った。


櫻井は白石の顔を見た。

「一過性のものだと思うから心配しなくても大丈夫。強いストレスからそうなっているのかもしれないね。念のため脳の検査もしてみますか?」


「よろしくお願いします。」


櫻井は頭を下げた。



「ねぇ、何?どうしたの?」


相葉が笑顔で聞いてきた。


「うん。大丈夫。ちょっと収録中怪我したんだ。雅紀はゆっくり休んでな。」


そう言って櫻井は布団を掛け直してあげた。


「えっ?収録中?」


「いいから、眠って。」


櫻井は雅紀に優しく微笑んだ。


相葉が笑顔なのがまだ救いだった。



続く