櫻井は運転席に乗ると後ろの二人の方を向いた。
「助手席乗らないの?」
「あ...」大野は隣の松本を見た。
「ごめん、なんか自然と後ろに乗っちゃった(笑)」
「もう、寂しいじゃんか。」櫻井が少し笑った。
「ごめん、次はさ、カズに乗ってもらおう。」
松本が言うと二人は頷いた。
「そうだな。雅紀に付き添って病院にいると信じよう。」櫻井は後ろの二人をバックミラー越しに見た。
「うん。」大野が頷いた。
結局三人は、相葉のいる病院に行く事にして櫻井の車に乗り込んだ。
やっぱり相葉に付き添って病院にいるんじゃないかと言う結論に達した。
櫻井の思い過ごしかもしれないと。
いや、そうであって欲しいと言う三人の願いだった。
「行くよ?」櫻井はそう言って車を発信させた。
ここからは少し遠い。
何となく三人とも緊張していた。
相葉の状態も気になる。
二宮の事も。
大野は眠いのか車に乗ってすぐに眠ってしまった。
「リーダー寝ちゃった(笑)」
バックミラー越しに後ろを見た櫻井がクスッと笑った。
「智くんらしいな。」
「本当...。」
そう言いながら松本は胸がギュッと締め付けられた。
早く前みたいに5人で笑い合いたい。
涙が溢れそうになるのを必死に堪えた。
「リーダー、疲れてるよな。眉間にシワ寄ってる(笑)寝顔、可愛いよな。あ、怪我の薬飲んだっけ?翔くんは?眠くない?大丈夫?運転 代わろうか?」
どうにか涙が零れないように喋り続けた。
「潤?どうした?」
櫻井はいつも以上に喋る松本の心の変化に気付いていた。
バックミラー越しに話し掛ける。
「ん?何が?」
「今日は、よく喋るね(笑)」
「そう?いつも通りでしょ?」
「あぁ、まぁいつも通りだね(笑)」
櫻井もそれ以上は聞かなかったし言わなかった。
車は病院へと向かって走り続けた。
思ったよりも早く病院へ着いた。
櫻井は手慣れた感じで地下駐車場へと車を止めた。
後ろを向いて大野を起こした。
「智くん?着いたよ。」
声を掛けるとゆっくりと目を開いた。
「ん?着いた...?」
小さく伸びをして目を擦った。
「あ、ここ。」
大野にとっては見覚えのある場所だった。
「そう、怪我した時に来たよね?」
「そっか、ここか!」
「そう、ここ。」櫻井はそう言いながら前を向き車から降りた。
松本と大野もそれに続いて車から降りた。
地下のせいかひんやりする。
地下駐車場から入れる入り口へと行くと病院へと入った。
櫻井は予め聞いておいた相葉への病室へと向かった。
三人でエレベーターに乗り最上階へのボタンを押した。
エレベーターでは三人とも喋ることはなかった。
相葉がどうなっているか、二宮がそこにいるのか…
それぞれいろんな思いで相葉のいる病室へと向かうエレベーターの中にいた。
エレベーターが最上階へ着くと櫻井は白石に言われた通りに廊下を突き当たりまで歩いた。
スライド式のドアをゆっくりと開けた。
続く