二宮は高橋との電話を切ると病室の端に置いてあったソファーを引っ張って相葉のベッドの横まで持って来た。
結構重く動かすのにやっとだった。
まーくん、隣に寝るからね。
二宮は、何か掛けるものはないかとソファーの横にあった小さなクローゼットを開けた。
毛布が入っていた。
リモコンで部屋の明かりを小さな電気だけにしてソファーに横になり自分の体に毛布を掛けた。
明日。
明日、犯人の元へ行く。
今のうちに眠っておこうと思った。
ソファーの方がベッドよりも低く相葉の様子が見えない。
少し体を起こして相葉を見た。
大丈夫...だよな。
二宮はもう一度ソファーに横になると疲れていたのかいつの間にか眠っていた。
夢を見た。
相葉が立っていた。
『カズくん?』
『まーくん、大丈夫なの?』
『大丈夫。カズくんがさ。看病してくれたでしょ?』
『肋骨は?胸は苦しくない?お腹空いてない?』
『そんな、いっぺんに言われたら分かんないよ(笑)』
相葉はいつもの笑顔で笑っていた。
『カズくん。行くね。』
『まーくん、どこ行くの?』
相葉が二宮に背を向けて歩き出した。
『うん。大丈夫。カズくんは行かなくていいよ。俺が行ってくるから。危ない目に合わせられないよ。ねっ?』
『まーくん、行っちゃダメ!行っちゃダメだって。』
二宮が追いかけても相葉はどんどん行ってしまう。
追いつかない。
『まーくん!!待って。ダメ!』
『カズはそこにいて。ねっ?大丈夫だよ。』
『やだよ、ダメだよ。どうして行っちゃうの?』
まーくん...
まーくん...!
二宮は自分の寝言にびっくりして目が覚めた。
あれ?
なんで?
涙が頬を伝っていた。
二宮はソファーから起き上がると相葉の寝顔を見つめた。
夢か...
良かった。
でも...
まーくん、ちゃんと目を覚ますよね...?
大丈夫なんだよね?
時々苦しそうな顔をする。
折れている肋骨が痛むのか、何か酷い夢でも見ているのか。
何にも出来ない自分がもどかしかった。
絶対に犯人を捕まえるからね。
二宮はいつの間にか相葉のベッドに頭を乗せて眠ってしまっていた。
続く