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翔は私と潤くんを玄関まで送ると優しく手を振った。
「またね」
「今日はありがとう、じゃあね」
私が手を振るといつもの優しい笑顔を私に向けてくれる。
私と潤くんは玄関を出て帰る方向へ歩き出した。
「ユキちゃんってわかりやすいよな。」
潤くんが、私を見て言った。
「えっ?なに?」
「翔の事好きなんでしょ?」
横目でチラッと私を見る。
「まさかっそんなわけないでしょ。」
「そんなわけあるでしょ?すっごいわかりやすいのな。」
そう言ってクスッと笑った。
「もぅいいじゃんっ翔には彼女もいるんだし。」
「いいの?友達で?」
「いいのっ」
すると潤くんが立ち止まり夜空を見上げた。
「なに?潤くんどうしたの?」
「いやさ…昔、翔もユキちゃんの事好きだったんだ。」
「えっ?」
「だけど…」
―翔の部屋(回想)
―ねぇ、この間一緒に連れて来た子可愛かったじゃん?
―あぁ、ユキ?
―うん
―実はさ、オレ好きなんだよね。
照れたように話す翔。
―そっか。
―だけど、全然ダメ…向こうは友達としか思ってないみたい…。
―でもさ、この間会った時は、仲良かったし、お似合いじゃん?
―そうかな?
夜空にはキラキラと光る星がたくさん見えた。
「だけど、ユキはオレの事友達としか思ってないみたいだって言ってた。」
「潤くん、それ本当?」
「うん」
「そっか…すれ違いだ、私たち…」
「まだ間に合うんじゃない?」
「もういいの。彼女の事本当に好きみたいだったし、今日だって、私と潤くんをくっつけようとしてたし。」
私は夜空を見上げる潤くんをおいて歩き出した。
「気持ちぶつけたら?後悔しない?」
潤くんが私に追いつきながら言った。
「私、片想いのままでいいの。友達のままの方がいつまでも友達でしょ?」
「ん?どういう事?」
「恋人になっちゃうと別れが来るけど、友達なら別れなくていいでしょ?わかる?」
「あぁそういう事…」
潤は納得したようにユキのあとを歩いた。
「ねぇ、クリスマスだしイルミネーション見て帰らない?」
「いいよ。」
先に歩くユキの後ろ姿を見ながら潤が小さく言った。
「いつか気持ちが俺に向くまで友達でいるか。」
「潤くん、なんか言った?」
「別にっ」
「嘘っなんか言ったっ」
「言ってないって」
「もうっ」
今は片想いでいい。
好きだって伝えたら壊れてしまいそうだから。
友達でいて、ずっとそばにいた方がいい。
片想いも悪くない。
終わり