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さっきから隣でずっとキラキラしてる光りを見てる彼女が愛おしくて仕方なかった。
「ねぇ、見てて飽きないの?」
「うん。飽きない。」
「やっぱり女の子はイルミネーション好きだよね。」
「翔ちゃん...ごめんね、つまんなかったかな?」
不安そうな顔で俺の顔を見つめる。
俺は思わず彼女の手をポケットから引っ張り出してギュッと手を握った。
彼女は一瞬戸惑ったけれど小さく握り返してきた。
「あったかいね。翔ちゃんの手。」
マフラーが少しずれて口元から白い息が漏れる。
俺を見る目がイルミネーションの光りに当たってキラキラとしていた。
「つまんなくなんてないよ。」
「本当に?」
尚も不安そうに俺の顔を覗き込む。
俺は「大丈夫だよ。」と小さく微笑んだ。
「良かった。」
俺は君の手を自分のコートのポケットにそっとしまった。
そのまま二人はずっとカラフルは光りを見ていた。
好きだと言ってしまおうか?
お互いに好きなのは分かっていた。
でも。
言ってはいけない気がした。
「翔ちゃん?」
「何?」
「また、一緒に来てくれる?」
「うん。いいよ。」
ポケットの中の彼女の手が俺の手をギュッと握った。
やっぱり好きだと言うのはやめよう。
奪えない愛もあるんだ。
イルミネーションが朝になると消えるように俺の気持ちもいつか消えてしまうだろう。
きっと、彼女も。
でも今は君が好きなんだ。