17『タンポポの約束』
「なに?」
ユウコは、二宮を見つめた。
「昔行った公園。覚えてる?」
「公園?どんな?」
「タンポポのたくさん咲いてる公園。」
「えっと…」ユウコはちょっと思い出せずに考え込んだ。
「忘れちゃったか…」
二宮はちょっと残念そうに笑った。
「その公園で、何かあったの?」
「覚えてないならいいよー」
二宮は少しふてくされてユウコに背中を向けた。
「ちょっと、カズ?」
ユウコは二宮の後ろから顔を覗き込んだ。
「覚えてないの?!指輪。」
「指輪?」
ユウコは、うっすらとある記憶を辿った。
「あっ…」
「思い出した?」
二宮はユウコの方に顔を向けた。
「うふふ…思い出した。」
「あれだけは、何だかうっすらと覚えてるんだ。」
二宮は小さく微笑んだ。
「そっか。あれは嬉しかったの覚えてるよ。」
「俺が一生懸命作ったからね。」
二宮はベッドに仰向けになると顔を覗き込んでいたユウコを自分の胸に抱き締めた。
「今度は本物、あげるから。」
「本当?」
「嘘。」
「もうっ…」
二宮はユウコの髪を撫で自分がユウコの上になるようにユウコをベッドに寝かせた。
「いつかね。」
そう言ってユウコの唇に自分の唇を重ねた。
二人の時間はこれからも続いていくだろう。
小さい頃の約束。
それが叶う事だってあるんだ。
続く。