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タケルは、病院で手当てをしてもらいえりと二人で病院を出た。
幸いタケルも大した事はなく擦り傷程度だった。
「タケル、運がいいね。あんな所から落ちたのに。」
「おまえのせいでこうなったんだ。よく、笑ってられるな。」
「ごめん。でも。。」
「でも?」
「あけみさんがいい人だって事はよく分かった。」
「なんでそう思うんだ?」
「ごめん、あとをつけた・・・」
「また、おまえ、、」タケルは呆れたようにえりを見た。
「だから、ごめん。」
「もう、いいよ。」
「また、見捨てるの?」
えりはタケルのあとを追いかけるようにして歩いた。
タケルは少し早足だった。
「バカ。もう、見捨てないよ。」
タケルはえりに笑顔を見せた。
「本当に?」えりはタケルの言葉に嬉しくなりニコッと笑った。
「えりには俺が必要みたいだしな。俺、家に戻るよ。」
「えっ?」
「もう何度も言わせるな。家に戻るって言ったんだ。
」
「違う、その前。」
「えっ?何?なんか言ったっけ?」
「言ったよ。私には俺が必要って。それって・・・。」
「勘違いするな!ちゃんと見張ってないと何するか分からないからな。」
「もうっ!」
えりはちょっと膨れたが内心は嬉しかった。
「ほら、帰るぞっ」
タケルとえりは並んで歩いた。