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あけみとタケルはそれからも何度かシフトが同じになった事で自然と前より親しくなっていった。
えりは相変わらず、タケルを訪ねてアパートに来ていた。
タケルが帰るとドアの前で待っているえりがいた。
「また、おまえかよ。何の用?」
「この前の女。誰?」
「えっ?女?」
「ほら、隣の部屋の。この前見たの。一緒に歩いてるの。アパート隣でしょ?同じ方向から歩いて来たし。」と、えりは隣の部屋の方を見た。
「あー、あけみさんね。同じ職場なんだ。もういいでしょ?帰りな。」
「やっぱり冷たい。まだ怒ってるの?あの時の事。」
「もう、終わった話しだろ。」
タケルはドアを開けて部屋に入るとガチャッとドアを閉めた。
えりは今頃何しに来たんだ。
俺が家を出てからも両親と仲良くやっていたのは母親から聞いていた。
何かあったわけじゃないよな。
えりは、ドアの前でしばらく立っていたがそのままアパートから帰る事にした。
あけみさんか・・・。
タケルとはどんな関係なんだろ。
職場の仲間ってだけかな。
えりはタケルのアパートを振り返って見た。
タケル・・・。
私は今でもタケルが好きだよ。