8
俺は激しく後悔していた。
なんで、好きだなんて言ったんだろう。
言わないままの方がいつでも会えたじゃないか。
バカだ。
そもそも、俺は恋愛が下手だ。
うまく気持ちを伝えられない。
伝えてもフラれる。
そんな事の繰り返し。
今日は、もう頭が回らない。
仕事に行かなくちゃならないのに、体が重い。
玄関でうなだれていると、リビングから携帯の鳴る音が聞こえてきた。
俺は仕方なくリビングまで行った。
ーはい、どうした?
相手は潤くんだった。
ー翔さん?今日忙しい?
ーえっと、仕事だけど…。
ーそっか、ちょっと会えない?話したい事があるんだ。
俺は「話したい事」と言われてドキッとした。
ー何?!
ーそれは、会ってから。夕方には終わるかな?
ー今日は、ちょっと…。明日ならいいよ。
ーじゃあ、明日。
ーあぁ。じゃあ、明日。
話したい事。きっと、あかりの事に違いない。
好きだなんて言ったからだろうか…?
俺は何だかイライラしてきて、頭を掻きむしった。
あーもぅっっ!!
何なんだ、いったい!
なんで、好きだなんて言っちゃったんだろう。
続く