ニノ13
私は二宮くんが好きになっていた。
二人で会う機会は増えて会う度に好きと伝えようと思っていた。
でも、今のこの関係が壊れてしまったら・・・
そう思うと怖かった。
でも、きっと二宮くんも同じ気持ちかもしれない。
1度だけ手を繋いだことがあった。
一緒に歩いていて肩がぶつかりドキドキしたのを覚えてる。
すでに梅雨入りした関東では時々降る雨のために折りたたみ傘を持ち歩いていた。
でもその時は持っていなかった。
急に降って来た雨に彼が私の手を握って走った。
「あっち。」そう言って指さした方向に屋根のある建物があった。
「えっ?」私がもたもたしていると彼が手を引いて走り出した。
思ったより雨足が強く慌てて雨宿りしたのに二人は濡れてしまった。
「濡れちゃったね。」隣で微笑む彼にドキッとした。
違う。手が触れたことにドキドキしていた。
私はこの人の事が好きなんだ。
今まで曖昧な気持ちだったのにこの時ハッキリと自分の気持ちに気付いた。
好きなんだ。
自分の気持ちに気付いてから会う度にいつも以上にドキドキしてしまう。
二宮くんに「気になる人になってたんじゃない?」と言われてドキッとした。
彼は本当はどう思ってるんだろう。
あの時、あの雨宿りした日。
私の濡れた髪をそっと触って寒いよねって、ポケットからしわくちゃになったハンカチを出して私の髪を拭いてくれた。
「いいよ、大丈夫。二宮くんこそ濡れてる。」
私がハンカチをカバンから出して二宮くんの服と髪を拭こうとした。
「大丈夫。それよりともこちゃんの方が濡れてますけど。」
彼がそう言って微笑む。
そんな顔で私を見るなんてずるい。
私はこの人とずっと一緒にいたいとその時思った。