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その頃、翔はコンビニにいた。
カゴにボンボンとお菓子やお酒を入れながら、さっきの事を考えていた。
アキは、なんで智くんにあんな事…っ!
キスなんてまだ、付き合ってからしてない。
ずっと友達だったんだ。
いきなり好きって言われてびっくりしたけど、嬉しかった。
でも…
何だか二人になると照れる。
俺だって、ちゃんと…。
翔は山のように入れたカゴをレジまで持って行く。
俺だってちゃんと、
好きなんだ。
そう呟いた時、コンビニの入り口のドアが開いた。
お客さんを知らせるチャイムが鳴り翔はドアの方に目をやった。
「アキっ!」
「翔、それ全部買うつもり?」
「えっ?」翔はカゴに山盛りになったお菓子やお酒を見て驚いた。
「あ…これは」翔は缶コーヒーをレジの横の棚から二つ取るとカゴに入ったものは買わず缶コーヒーだけを会計した。
コンビニの入り口近くにいた、アキに缶コーヒーを1つ渡し「ちょっと話そうか」と言ってコンビニを出た。
辺りはすっかり暗くなっていた。
アキは翔の後をついて行く。
「翔、どこ行くの?早いよ。」
翔はアキの声が聞こえていないかのようにスタスタと歩いている。
コンビニから出て少し歩いた所にある公園に翔は入って行った。
アキも後からついて行く。
翔がベンチに腰を下ろすとアキも隣へ座った。
「アキ?」翔は缶コーヒーを両手で持ち地面を見ながら呟いた。
「何?」アキは翔の顔を覗き込むように翔を見た。
相変わらず地面を見ながら翔はゆっくりと口を開いた。
「なんでさっき、あんな事言ったの?」
「ごめんね翔、私ね、翔が本当に好きなの。でも不安だよ。いつも素っ気ないし、私が話し掛けても何だか…。それに私たち、付き合って3ヶ月にもなるのにまだ…」
「まだ…?」
「……」アキは自分で言って急に恥ずかしくなった。
「それって、こうゆうの?」そう言って翔はアキの肩に自分の両手を置きグッと押し倒した。
痛いっ!
アキは倒れた拍子に頭をぶつけた。
「翔?あの…」
「違うの?」翔がアキを押さえつけたまま聞く。
翔はそのまま、アキの顔に近付いて来た。
「翔、違うっ!!やめてっ!」アキは翔の顔を思わず押し退けた。
「なんでだよっ!」翔はアキに向かって言った。
「違うよ翔。私はこんな事望んでない!」
アキは翔の手をどかして起き上がると公園から走って出て行った。
翔は転がった缶コーヒーを思いっきり蹴っ飛ばした。
「…なんだよっ」
翔は蹴飛ばした缶コーヒーを拾い蓋を開けて一口飲んだ。
「アチッ!」翔は思わず缶コーヒーを落としてしまった。
缶コーヒーの、中身がこぼれて地面を染めた。
「もぅ、何なんだよっ。」
翔はベンチに座り頭を抱えた。
「わかんねぇ…」
ポツリと呟いた。
続く