あらすじ


幽世の貸本屋シリーズの第5弾。


今回は、ナナシ、玉樹の過去が初めて明かされる。2人にどんな関係があり、どんな過去から幽世に来たのか


食べると不老不死になるという人魚の肉を食べさせられ死ねない体になってしまった玉樹は、亡くなった奥さん、お雪との「来世でも一緒になろう」という約束を果たすため、死ねる方法を考える。


東雲、夏織、水明、クロ、金目、銀目、ナナシも協力し、玉樹は死ぬことができるのか---



感想


すべてを鬼や災いから救うとされる瑞獣、"白沢"だが、ある村で疫病が流行り、その村のたくさんの人たちが死んでしまった。


すべての人たちを救いたかった。だが、多くの命を取りこぼしてしまった。


絶望していた白沢は日本に来て、豊房とお雪という夫婦と知り合う。

白沢は、夫婦に全てを話すと、お雪は白沢という名を捨ててしまえばいいと言う。

自分の器以上のことをやろうとするから苦しいのだ、自分の器を理解し、その上で自分が何がしたいのか、自分が本当にやりたいと心から思う願いを叶えればいい。


このお雪の言葉が印象に残った。


そして、「手の届く範囲の相手に心を砕いて、一生懸命それだけに集中してごらんなさい。そうしたら、いつの間にか救われています」とお雪は言った。


いきなり自分の器以上のことをしようとせず、まずは自分の周りの、手の届く範囲を大事にすることが大事なんだろうなと思った。