最近では学校というものができて、子供の教育を他人にまかせるのを当然のこととしている。子供を教育するのは、その親の本分であることをみんな忘れてしまっている。おそらく現今の父母は、その父母より教育を受けたこともないので、自分の子供を教育するとはどういうことなのかさえもわからないようになってしまったのではないか。それではどうしたらよいか。この病根はすでに深く骨髄にしみているので、これを取りのぞくことは、一朝一夕ではできない。したがって自分はけっして、今、にわかに『父母が子供に十分な教育をしないこと』を責めるわけではない。ただ、父母たるものは、その子供を教育することを親の職であると知って、留意してその力のおよぶかぎりをつくせば、その子供、また子供の子供も、『教育するのは自分の仕事である』ことがわかり、最後にはそれが一家の風となり、町ではそれがその町の習わしとなるのではないか。


明治7年の雑誌に載せられている秋坪の書いた記事です。