謹賀新年
昨年は、あまり本を読まなかったが、司馬遼の「人々の跫音」を一番興味深く再読した。正岡忠三郎(妻あや子)と西沢タカジ・こと詩人ぬやまひろし(妻摩耶子)がこの物語の主人公である。子規の妹が律で、その養子が忠三郎.忠三郎とタカジは,旧制二校で共に学ぶ。忠三郎には、あの富永太郎や中原中也とも交友があった。忠三郎の両親は加藤拓川とひさ。拓川は子規の父代わりの叔父であり、陸羯南と共に江藤新平が設立した司法省法学校で学び、秋山好古とは竹馬の友。子規はあまりにも文学史上有名だが、教科書にもあまりでてこない多くのマイナーな人物の生と死を、司馬遼の独特のタッチで風景画を描くようにサラッと書き上げている。そういえば、河井継之助、高田屋嘉兵衛なども、数年前まで不覚にも名前さえ知らなかった。
言論界の陸羯南は、どういうわけか幕末の蘭学医の緒方洪庵とイメージが心の中でだぶる.あまり人口に膾炙していない素晴らしい人物が、まだまだ日本史には多く埋もれているようだ。我が先輩や友のように。
           1999年1月元旦

P.S:旧年中にわずかな距離ながら、引っ越しした。E-Mailアドレスも変更した。