P393
第一節 労働期間が流通期間に等しいばあい
「第15章 回転期間が資本前貸の大きさに及ぼす影響」の「第一節 労働期間が流通期間に等しいばあい」という目次に注目して要点をまとめると:
l マルクスは2つの資本(資本Ⅰと追加資本Ⅱ)が同時に稼働せず、互いに交錯しないため、関係が単純明快に理解できるので、「労働期間が流通期間に等しいばあい」(この例では4.5週)を例として取り上げている。→ P393参照
l 「労働期間が流通期間に等しいばあい」についての詳細は、P393の表1を参照のこと。
l 現実の回転を見るならば、資本Ⅰは、第51週の終わりに、なおその第六回転期間の3週間を余しているので、五回と三分の二回転したわけである。5-2/3×450=2550 ポンド。また資本Ⅱは、その第六回転期間の1週間半を完了しただけで、残りの7週間半は、翌年に属するのであるから、五回と六分の一回転したわけである。5-1/6×450=2325 ポンド。現実の総回転は、4875ポンドである。→ P394参照
l この例では、資本Ⅰは、五つの完全な回転期間と第六回転期間の三分の二とを終わったことを示している。それは年末には、正常な実現になお3週間を要する商品資本の形態にある。この期間中には、それは生産過程に入りえない。それは商品資本として機能している、すなわち流通している。→ P395参照
資本論(4)本文の「第一節 労働期間が流通期間に等しいばあい」の要約は以下のとおりである。
P393 このばあいは、現実においては、偶然の例外であるにすぎないとはいえ、考察の出発点として役立つに相違ない、というのは、ここでは諸関係が、もっとも単純に、また明瞭に現われるからである。
二つの資本(第一の労働期間に前貸しされる資本Ⅰと、資本Ⅰの流通期間中に機能する追加資本Ⅱと)は、それらの運動において、交錯し合うことなく交代する。したがって、第一期間を除けば、両資本は、いずれもそれ自身の回転期間についてのみ、前貸しされている。回転期間は、以下の諸例におけるように、9週間、したがって労働期間と流通期間は、それぞれ4週間半であるとしよう。そのばあいには次のような年間表が得られる。
表1
|
資本 I |
||||
|
|
回転期間(週) |
労働期間(週) |
前貸し(ポンド) |
流通期間(週) |
|
I |
1〜9週 |
1〜4.5週 |
450 |
4.5〜9週 |
|
II |
10〜18週 |
10〜13.5週 |
450 |
13.5〜18週 |
|
III |
19〜17週 |
19〜22.5週 |
450 |
22.5〜27週 |
|
IV |
28〜36週 |
28〜31.5週 |
450 |
31.5〜36週 |
|
V |
37〜45週 |
37〜40.5週 |
450 |
40.5〜45週 |
|
VI |
46〜(54)週 |
46〜49.5週 |
450 |
49.5〜(54)週 |
第二回転年に属する週はカッコに入れてある。
|
資本 II |
||||
|
|
回転期間(週) |
労働期間(週) |
前貸し(ポンド) |
流通期間(週) |
|
I |
4.5〜13.5週 |
4.5〜13.5週 |
450 |
10〜13.5週 |
|
II |
13.5〜22.5 |
13.5〜22.5週 |
450 |
19〜22.5週 |
|
III |
22.5〜31.5 |
22.5〜31.5週 |
450 |
28〜31.5週 |
|
IV |
31.5〜40.5 |
31.5〜40.5週 |
450 |
37〜40.5週 |
|
V |
40.5〜49.5 |
40.5〜49.5週 |
450 |
46〜49.5週 |
|
VI |
49.5〜(58.5) |
49.5〜(58.5)週 |
450 |
(55*-58.5)週 |
* マイスネル版〔第一・二版〕では、54、となっている。明らかに誤記である。アドラツキー版編集者。
P394 ここでわれわれが一年と仮定する51(* マイスネル版〔第一・二版〕では、50、となっている。エンゲルスの印刷用原稿によって訂正。アドラツキー版編集者。)週間のうちに、資本Ⅰは、まる六労働期間を完了して 6×450=2700 ポンドの商品を生産し、また資本Ⅱは、まる五労働期間に 5×450=2250 ポンドの商品を生産した。さらに、資本Ⅱは年末の1週間半(第50週の半ばから第51週の終わりまで)に150ポンドの商品を生産した51週間の総生産物は、5100ポンドとなる(注:2700+2250+150=5100)。したがって、労働期間中にのみ生産される剰余価値の直接的生産にかんして言えば、900ポンドの総資本が、五回と三分の二回転したことになる(5-2/3×900=5100 ポンド)。しかし、現実の回転を見るならば、資本Ⅰは、第51週の終わりに、なおその第六回転期間の3週間を余しているので、五回と三分の二回転したわけである。5-2/3×450=2550 ポンド。また資本Ⅱは、その第六回転期間の1週間半を完了しただけで、残りの7週間半は、翌年に属するのであるから、五回と六分の一回転したわけである。5-1/6×450=2325 ポンド。現実の総回転は、4875ポンドである。
P395 資本Ⅰは、五つの完全な回転期間と第六回転期間の三分の二とを終わった。・・・・・中略・・・・・すなわち前記の例では 5-2/3×450=2550 ポンドであるという表現は、この450ポンドの資本が他の450ポンドの資本によって補足されないならば、事実上その一部が生産過程にあり、他の一部が流通過程にあらねばならないことになる、という正しい意味をもっている。
P396 われわれがここで年末と仮定する第51週の終わりには、資本Ⅱのうち150ポンドが、未完成生産物の生産に前貸しされている。
P397 単に労働期間だけを見るならば、
資本Iの生産する 6 x 450 = 2700 ポンド
資本IIの生産する 5-1/3 x 450 = 2400 ポンド
-----------------------------------------------------------------------
合計 5-2/3 x 900 = 5100 ポンド
が得られる。すなわち、前貸しされた900ポンドの総資本が、一年に五回と三分の二回、生産資本として機能したわけである。交互にたえず450ポンドが生産過程で機能し、そしてたえず450ポンドが流通過程で機能するか、または900ポンドが4週間半ずつ生産過程で機能して次の4週間半は流通過程で機能するかは、剰余価値の生産にとっては同じことである。
P397 だが、回転期間を見れば、
資本Iの回転額 5-2/3 x 450 = 2550 ポンド
資本IIの回転額 5-1/6 x 450 = 2325 ポンド
-----------------------------------------------------------------------
総資本の回転額 5-5/12 x 900 = 4875 ポンド
P398 注意すべきは、資本Ⅰと資本Ⅱとは、相互に独立したものとされるばあいにも、同じ生産部面で前貸しされた社会的資本の相異なる独立部分をなすにすぎないということである。したがって、この生産部面内の社会的資本が、単にⅠとⅡのみから成るものとすれば、この部面における社会的資本の回転については、ここで同じ私的資本の両構成部分であるⅠとⅡとに当てはまる計算と同じ計算が当てはまるであろう。これをさらに拡張すれば、特殊の一生産部面に投ぜられた社会的総資本の各部分は、いずれもかようにして計算されうる。しかし、結局は、社会的総資本の回転数は、種々の生産部面で回転した資本の総額を、これらの生産部面で前貸しされた資本の総額で割ったものに等しいのである。
P399
第二節 労働期間が流通期間より大きいばあい
「第二節 労働期間が流通期間より大きいばあい」という目次に注目して要点をまとめると:
l 資本ⅠとⅡの労働期間および流通期間が交替し合うのではなく、交錯し合う。→ P399参照
l 毎週100ポンドが労働過程で前貸しされるべきものと仮定。労働期間は6週間にわたるものとし、したがって、毎回600ポンドの前貸し(資本Ⅰ)を要するものとしよう。流通期間は3週間、したがって回転期間は前と同じに9週間としよう。資本Ⅰの3週間の流通期間中は、300ポンドの資本Ⅱが現われているものとする。年回転の表は次のようになる(P400参照)
資本論(4)本文の「第二節 労働期間が流通期間より大きいばあい」の要約は以下のとおりである。
P399 資本ⅠとⅡの労働期間および回転期間〔流通期間?-----訳者〕が交替し合うのではなく、交錯し合う。同時にここでは、資本の遊離が行なわれるが、それはこれまで考察されたばあいには、現われなかったことである。
P400 そこで再び、毎週100ポンドが労働過程で前貸しされるべきものと仮定しよう。労働期間は6週間にわたるものとし、したがって、毎回600ポンドの前貸し(資本Ⅰ)を要するものとしよう。流通期間は3週間、したがって回転期間は前と同じに9週間としよう。資本Ⅰの3週間の流通期間中は、300ポンドの資本Ⅱが現われているものとする。両資本を相互に独立した資本として見るならば、年回転の表は次のようになる。
表2
|
資本 I |
600ポンド |
|||
|
|
回転期間(9週) |
労働期間(6週) |
前貸し(ポンド) |
流通期間(3週) |
|
I |
1〜9週 |
1〜6週 |
600 |
7〜9週 |
|
II |
10〜18週 |
10〜15週 |
600 |
16〜18週 |
|
III |
19〜27週 |
19〜24週 |
600 |
15〜27週 |
|
IV |
28〜36週 |
28〜33週 |
600 |
34〜36週 |
|
V |
37〜45週 |
37〜42週 |
600 |
43〜45週 |
|
VI |
46〜(54)週 |
46〜51週 |
600 |
(52〜54)週 |
|
追加資本 II 300ポンド |
||||
|
|
回転期間(9週) |
労働期間(3週) |
前貸し(ポンド) |
流通期間(6週) |
|
I |
7〜15週 |
7〜9週 |
300 |
10〜15週 |
|
II |
16〜24週 |
16〜18週 |
300 |
19〜24週 |
|
III |
25〜33週 |
25〜27週 |
300 |
28〜33週 |
|
IV |
34〜42週 |
34〜36週 |
300 |
37〜42週 |
|
V |
43〜51週 |
43〜45週 |
300 |
46〜51週 |
P401 生産過程は、全年を通じて中断なく同じ規模で進行する。両資本ⅠとⅡは、完全に分離されたままである。しかし、それらをかように分離されたものとして示すためには、それらの現実の交錯と絡み合いとを引裂き、またそれによって、回転数をも変えねばならないであろう。すなわち前表によれば、
資本Iの回転額 5-2/3 x 600 = 3400 ポンド
資本IIの回転額 5 x 300 = 1500 ポンド
-----------------------------------------------------------------------
総資本の回転額 5-4/9 x 900 = 4900 ポンド
となるであろう。しかしこれは正しくない、というのは、次に見るように、現実の生産期間と流通期間は、両資本ⅠとⅡを相互に独立したものとして現われさせることを要旨とした前表のそれとは、絶対的には一致しないからである。
P402 実際はこうなのである。第6週の終わりに600ポンドの生産物価値が流通に入り、そして第9週の終わりに貨幣となって還流する。同時に第7週の初めには資本Ⅱが活動を始めて、第7週から第9週まで次の労働期間の必要を充たす。ところで、われわれの仮定によれば、第9週の終わりには、労働期間は半分しか済んでいない。そこで第10週の初めには還流したばかりの600ポンドの資本Ⅰが、再び活動を始めて、300ポンドをもって第10週から第12週までの必要な前貸しを充たす。かくして第二の労働期間が終わる。600ポンドの生産物価値が流通していて、第15週の終わりに還流するであろう。しかしそのほかに、最初の資本Ⅱの金額300ポンドが遊離されていて、次の労働期間の前半、すなわち第13週から第15週まで機能しうる。この期間の経過後には、再び600ポンドが還流する。この労働期間の終わるまでは、そのうちの300ポンドで足り、残りの300ポンドは、次の労働期間のために遊離されている。
P402 かくして事柄は次のような経過をとる。
第一回転期間、第1から9週。
第一労働期間、第1から6週。資本Ⅰ600ポンドが機能する。
第一流通期間、第7から9週。第9週の終わりに600ポンドが還流する。
第二回転期間、第7から15週。
第二労働期間、第7から12週。
前半、第7から9週。資本Ⅱ300ポンドが機能する。第9週の終わりに600ポンドが貨幣となって還流する(資本Ⅰ)。
後半、第10から12週。資本Ⅰのうちの300ポンドが機能する。資本Ⅰの残りの300ポンドは遊離されている。
第二流通期間、第13から15週。 第15週の終わりに600ポンド(半分は資本Ⅰから、半分は資本Ⅱから成る)が貨幣となって還流する。
第三回転期間、第13から21週。
第三労働期間、第13から第18週。
前半、第13から15週。遊離された300ポンドが機能しはじめる。第15週の終わりに600ポンドが貨幣となって還流する。
後半、第16から第18週。還流した600ポンドのうち300ポンドが機能し、残りの300ポンドは再び遊離されている。
第三流通期間、第19から21週。この終わりに再び600ポンドが貨幣となって還流する。この600ポンドの中には資本Ⅰと資本Ⅱとがもはや区別されえないまでに融合している。
P404 かようにして、第51週の終わりまでに、600ポンドの一資本の八つの完全な回転期間が生ずる(Ⅰ第1から9週。Ⅱ第7から15週。Ⅲ第13から21週。Ⅳ第19から27週。Ⅴ第25から33週。Ⅵ31から39週。Ⅶ第37から45週。Ⅷ第43から51週)。しかし、第49から51週は第八流通期間に当たっているので、そのあいだは遊離された300ポンドの資本が入ってきて、生産の進行を保たねばならない。かくして、年末には回転は次のように示される。600ポンドがその循環を八回完了して、4800ポンドとなる。これに最後の3週間(第49から51週)の生産物が加わるのであるが、これは、その9週間の循環の三分の一を終えただけであり、したがって、回転額には、その三分の一である100ポンドだけが算入される。したがって、51週間の年生産物は5100ポンドであるとしても、回転した資本は 4800+100=4900 ポンドにすぎない。かくして、900ポンドの前貸総資本は、五回と九分の四回回転し、したがって、第一節のばあいよりもやや多く回転したことになる。
P404 この例では、労働期間が回転期間の三分の二で、流通期間が三分の一であるばあい、すなわち労働期間が流通期間の単なる倍数であるばあいが、想定された。そこで問題なのは、そうでないばあいにも、この例で確認された資本の遊離が行なわれるかどうか、である。
労働期間を5週間、流通期間を4週間、毎週の資本前貸を100ポンドとしよう。
第一回転期間、第1から9週。
第一労働期間、第1から5週。資本Ⅰ500ポンドが機能する。
第一流通期間、第6から9週。第9週の終わりに500ポンドが貨幣となって還流する。
第二回転期間、第6から14週。
第二労働期間、第6から10週。
第一分節、第6から9週。資本Ⅱ400ポンドが機能する。第9週の終わりに資本Ⅰ500ポンドが貨幣となって還流する。
第二分節、第10週。還流した500ポンドのうち100ポンドが機能する。残りの400ポンドは、次の労働期間のために遊離されている。
第二流通期間、第11から14週。
P405 第14週の終わりに500ポンドが貨幣となって還流する。 第14週の終わりまでは(第11から14週)、前に遊離された400ポンドが機能する。ここで還流した500ポンドのうちの100ポンドは、第三労働期間(第11から15週)中の必要を補い、したがって、再び400ポンドが、第四労働期間のために遊離される。同じ現象が、各労働期間で繰返される。
P407
第三節 労働期間が流通期間より小さいばあい
「第三節 労働期間が流通期間より小さいばあい」という目次に注目して要点をまとめると:
l 回転期間:9週間(労働期間:3週間、流通期間:6週間)→ P407 第三表参照
l 前貸し資本:300ポンド→ P407参照
l 追加資本:600ポンドの資本が必要。→ P407参照
l 600ポンドは、300ポンドずつの2つの資本に分割。→ P407参照
l 300ポンドずつの3つの資本が得られる。→ P407参照
l そのうち300ポンドは生産に使用(稼働中)。→ P407参照
l 残り2つ(計600ポンド)は流通中(販売・還流待ち)。→ P407参照
資本論(4)本文の「第三節 労働期間が流通期間より小さいばあい」の要約は以下のとおりである。
P407 さしあたり再び9週間の回転期間をとる。そのうち労働期間は3週間、その間に利用されうる資本は300ポンド。流通期間は6週間とする。この6週間のためには600ポンドの追加資本が必要であるが、われわれは、さらにそれを、それぞれ一労働期間の必要を充たす300ポンドずつの二つの資本に分割することができる。そのばあいには300ポンドずつの三つの資本が得られ、そのうちつねに300ポンドは生産に使用され、600ポンドは流通している。
P407 第三表
|
資本 I |
|
|||
|
|
回転期間(9週) |
労働期間(3週) |
流通期間(6週) |
|
|
I |
1〜9 |
1〜3 |
4〜9 |
|
|
II |
10〜18 |
10〜12 |
13〜18 |
|
|
III |
19〜27 |
19〜21 |
12〜27 |
|
|
IV |
28〜36 |
28〜30 |
31〜36 |
|
|
V |
37〜45 |
37〜39 |
40〜45 |
|
|
VI |
46〜(54) |
46〜48 |
(49〜54) |
|
|
|
回転期間・週 |
労働期間・週 |
流通期間(週) |
|
I |
4〜12 |
4〜6 |
7〜12 |
|
II |
13〜21 |
13〜15 |
16〜21 |
|
III |
22〜30 |
22〜24 |
25〜30 |
|
IV |
31〜39 |
31〜33 |
34〜39 |
|
V |
40〜48 |
40〜42 |
43〜48 |
|
VI |
49〜(57) |
49〜51 |
(52〜57) |
|
資本 III |
|||
|
|
回転期間・週 |
労働期間・週 |
流通期間(週) |
|
I |
7〜15 |
7〜9 |
10〜15 |
|
II |
16〜24 |
16〜18 |
19〜24 |
|
III |
25〜33 |
25〜27 |
28〜33 |
|
IV |
34〜32 |
34〜36 |
37〜42 |
|
V |
43〜51 |
43〜45 |
46〜51 |
P408 ここではちょうど第一節のばあいに対応する形が得られるのであって、異なるところは、ここでは二つの資本ではなく三つの資本が交替し合うということだけである。諸資本の交錯または絡み合いは生じない。各個の資本が、年末まで別々に追跡されうる。したがって、第一節のばあいと同様に、労働期間の終わりに資本の遊離が生じない。資本Ⅰは、第3週の終わりに全部支出され、第9週の終わりに全部還流し、そして第10週の初めに、再び機能しはじめる。資本ⅡとⅢも同様である。規則的な完全な交替によって、一切の遊離が排除される。
P409 総回転は次のように計算される。
資本I 300 ポンド x 5-2/3 = 1700 ポンド
資本II 300 ポンド x 5-1/3 = 1600 ポンド
資本III 300 ポンド x 5 = 1500 ポンド
-----------------------------------------------------------------------
総資本 900 ポンド 5-1/3 x 900 = 4900 ポンド
P415
第四節 結 論
「第四節 結 論 」という目次に注目して要点をまとめると:
l 資本が、相異なる独立の私的資本のように交替し合うのは、次の二つのばあいである。(1)労働期間が流通期間に等しく、したがって、回転期間が二つの等しい部分に分割されているばあい。(2)流通期間が労働期間よりも長く、同時に労働期間の単純な倍数をなし、したがって、一流通期間がn労働期間に等しいばあいである。→ P415参照
l これに反して、(1)流通期間が労働期間よりも長いが、その単純な倍数ではないばあい、および、(2)労働期間が流通期間より長いばあい、これらのすべてのばあいには、流動総資本の一部が、第二回転以後は、たえず、そして周期的に、各労働期間の終わりに遊離される。→ P415参照
l この遊離された資本の大きさが、労働過程の範囲または生産の規模とともに、したがって一般に資本主義的生産の発展とともに、増大するということも明らかである。→ P416参照
資本論(4)本文の「第四節 結 論 」の要約は以下のとおりである。
P415 以上の研究から次の結論が生ずる。
A。資本は、他の諸部分が流通期間にあるあいだにも一部分はたえず労働期間にありうるためには、種々の部分に分割されねばならないが、これらの各部分が、相異なる独立の私的資本のように交替し合うのは、次の二つのばあいである。(1)労働期間が流通期間に等しく、したがって、回転期間が二つの等しい部分に分割されているばあい。(2)流通期間が労働期間よりも長く、同時に労働期間の単純な倍数をなし、したがって、一流通期間がn労働期間に等しいばあい。ただしこのnは整数でなければならない。これらのばあいには、相次いで前貸しされる資本のいかなる部分も、遊離されない。
B。これに反して、(1)流通期間が労働期間よりも長いが、その単純な倍数ではないばあい、および、(2)労働期間が流通期間より長いばあい、これらのすべてのばあいには、流動総資本の一部が、第二回転以後は、たえず、そして周期的に、各労働期間の終わりに遊離される。そしてこの遊離された資本は、労働期間が流通期間より長いばあいには、総資本中の流通期間のために前貸しされた部分に等しい。また、流通期間が労働期間よりも長いばあいには、一労働期間を超えるか、または数労働期間の倍数を超える流通期間の超過分を充たすべき資本部分に等しい。
P416 C。以上のことから次のことが出てくる。社会的総資本にとっては、その流動部分について見れば、資本の遊離が常則をなし、相次いで生産過程で機能する諸資本部分の単なる交替は、例外をなすものでなければならない。なぜかといえば、労働期間と流通期間とが等しいこと、または流通期間が労働期間の単純な倍数に等しいこと、かように回転期間の両構成部分が規則的な割合をなしていることは、事柄の性質とは全く関係がなく、したがって、大体において例外的にのみ起こりうることだからである。 したがって、一年に何回も回転する社会的流動資本の非常に大きな部分が、年々の回転循環において周期的に、遊離された資本の形態にあるであろう。
P416 さらに、他の事情をすべて不変とすれば、この遊離された資本の大きさが、労働過程の範囲または生産の規模とともに、したがって一般に資本主義的生産の発展とともに、増大するということも明らかである。すなわち、Bの(2)のばあいには、前貸総資本が増大するからであり、Bの(1)のばあいには、資本主義的生産の発展とともに流通期間の長さが増大し、したがって、両期間の規則的な比率なしに労働期間が増大するばあいの回転期間も増大するからである。
P417 D。たとえば900ポンドの総資本が二つの部分に、すなわち、前記のばあいには労働期間の600ポンドと流通期間の300ポンドとに分割されねばならない。現実に労働過程で支出される部分はこれによって三分の一だけ減らされて900ポンドから600ポンドとなり、したがって生産規模は三分の一だけ縮小される。他方では300ポンドが、労働過程を連続させるためにのみ機能して、一年中、毎週100ポンドが労働過程で支出されうることになる。
P420 このことから、いかにして貨幣資本の過多なるものが生じうるか、がわかるしかも、貨幣資本の供給が、需要よりも大きいという意味の過多だけではない。この意味の過多は、つねに相対的過多であるにすぎず、たとえば、恐慌の終末の後に新たな循環を開始する「憂鬱期」に生ずるそれの如きである。ここに言うのはそれではなく、社会的総再生産過程(流通過程を含む)の運営にとって、前貸資本価値の一定部分が過剰となり、したがって、貨幣資本の形態で分離されている、という意味におけるそれである。生産規模と物価とが不変であるときに、単なる回転期間の短縮によって生じた過多である。流通中の貨幣の量はその大小を問わずこれにはいささかの影響も与えなかったのである。
P421 反対に、流通期間が、たとえば3週間から5週間に延長されるものとしよう。このばあいには、早くも次の回転で、前貸資本の還流が二週間遅れる。この労働期間の生産過程の最後の部分は、この前貸資本自体の回転の機構によっては、続行されえない。この状態が比較的長く続けば、前のばあいには拡大が生じえたのだが、ここでは生産過程のそれが経営される大きさの縮小が生じうるであろう。
P422 労働期間と流通期間との、したがって資本Ⅰと資本Ⅱとの大きさの比率がどうであろうとも、------ 第一回転の終了後には、労働期間の長さだけの規則的な間隔をおいて、各一労働期間に必要な資本-------- すなわち資本Ⅰに等しい額が貨幣形態で資本家のもとに還流する。
P423 労働期間が5週間、流通期間が4週間、資本Ⅰが500ポンドであるならば、第9、第14、第19、第24、第29週、等々の終わりには、毎回500ポンドの貨幣額が還流する。
労働期間が6週間、流通期間が3週間、資本Ⅰが600ポンドであるならば、第9、第15、第21、第27、第33週、等々の終わりには、毎回600ポンドが還流する。
最後に、労働期間が4週間、流通期間が5週間、資本Ⅰが400ポンドであるならば、第9、第13、第17、第21、第25週、等々の終わりには、各400ポンドの還流が生ずる。
この還流した貨幣が、そのときの労働期間によって過剰であり、したがって、遊離されているかどうか、またそのうちの幾何がそうなっているかは、何らの差異を生ぜしめない。生産は平素の規模で、中断なく進行するものと前提される。そしてこのとおりに行なわれるためには、貨幣が現存せねばならず、したがって「遊離される」と否とを問わず、還流せねばならない。生産が中断されれば、遊離もなくなる。
P423 この還流した貨幣が、そのときの労働期間によって過剰であり、したがって、遊離されているかどうか、またそのうちの幾何がそうなっているかは、何らの差異を生ぜしめない。生産は平素の規模で、中断なく進行するものと前提される。そしてこのとおりに行なわれるためには、貨幣が現存せねばならず、したがって「遊離される」と否とを問わず、還流せねばならない。生産が中断されれば、遊離もなくなる。 いいかえれば、貨幣の遊離が、したがって貨幣形態における潜在的な単に可能的な資本の形成が、行なわれるにはちがいない。
P424 本文における眼目は、一方では、産業資本のかなり大きな一部分がつねに貨幣形態で存在せねばならず、他方では、時にはさらにより大きな部分が貨幣形態をとらねばならないということの論証である。この論証は、この私の追記によっては、むしろ強化されるにすぎない。F・エンゲルス。}
P424
第五節 価格変動の影響
「第五節 価格変動の影響 」という目次に注目して要点をまとめると:
l 原料と補助材料の価格も、労働賃金も二分の一だけ下落するものとしよう。このばあい、われわれの例では、毎週100ポンドではなく50ポンドの、そして9週間の回転期間については、900ポンドではなく450ポンドの前貸資本が必要であろう。→ P424参照
l 前貸資本価値のうちの450ポンドは、さしあたり貨幣資本として分離されるが、しかし生産過程は、同じ規模で、同じ回転期間とその従来どおりの分割とをもって、続行されるものとする。→ P424参照
l 事業Xはこの資本価値を、さしあたりは貨幣の形態で、すなわち貨幣資本として前貸しするのだからである。流通に投ぜられた貨幣量が減少したのは、生産要素の価格が下落したからだというのである。これが第一の結果であろう。→ P424参照
l しかし第二に、最初に前貸しされた900ポンドの資本価値の二分の一である450ポンドは、順次に貨幣資本、生産資本、商品資本の形態を通過し、同時にたえず相並んで一部は貨幣資本の形態に、一部は生産資本の形態に、一部は商品資本の形態にあったのであるが、この450ポンドが事業Xの循環から分離され、したがって追加貨幣資本として貨幣市場に現われ、追加的構成部分として貨幣市場に影響するであろう。→ P425参照
l しかし、第三に、生産規模が与えられたものであり、回転速度が不変であり、流動生産資本の諸要素の価格も不変であるばあいに、事業Xの生産物の価格が、下落または騰貴することもありうる。事業Xによって供給される商品の価格が下落すれば、それがたえず流通に投じていた600ポンドの商品資本の価格は、たとえば500ポンドに下落する。したがって、前貸資本の価値の六分の一は、流通過程から還流しない。→ P426参照
l 逆に、事業Xの生産物の価格が騰貴するとすれば、600ポンドの商品資本の価格が、たとえば700ポンドに騰貴する。その価格の七分の一である100ポンドは、生産過程から出てくるのではなく、生産過程で前貸しされたのではなく、流通過程から流れてくる。しかし、生産要素を補塡するためには、600ポンドしか必要でない。したがって、100ポンドが遊離される。→ P426参照
l 次のことは、ここの研究に属すべきである。 一、生産規模が不変であり、生産要素と生産物の価格が不変であり、流通期間としたがって回転期間における変動が生ずるばあい。二、生産材料の価格が変動し、他の事情はすべて不変であるばあい。 三、生産物自体の市場価格に変動の生ずるばあい。→ P427-435参照
資本論(4)本文の「第五節 価格変動の影響 」の要約は以下のとおりである。
P424 このばあい、われわれの例では、毎週100ポンドではなく50ポンドの、そして9週間の回転期間については、900ポンドではなく450ポンドの前貸資本が必要であろう。前貸資本価値のうちの450ポンドは、さしあたり貨幣資本として分離されるが、しかし生産過程は、同じ規模で、同じ回転期間とその従来どおりの分割とをもって、続行されるものとする。年生産物量も同じであるが、しかし、その価値は二分の一だけ下落している。貨幣資本の需要供給における変動をも伴うかような変動を引起こしたものは、流通の加速でもなければ、流通貨幣量の変化でもない。逆である。生産資本の諸要素の価値、または価格の二分の一の下落がまず第一に引起こす結果は、依然として同じ規模で続行される事業Xのためには、二分の一だけ減少した資本価値が前貸しされ、したがって事業Xの側からも、二分の一だけの貨幣が市場に投ぜられる、ということであろう。というのは、事業Xはこの資本価値を、さしあたりは貨幣の形態で、すなわち貨幣資本として前貸しするのだからである。流通に投ぜられた貨幣量が減少したのは、生産要素の価格が下落したからだというのである。これが第一の結果であろう。
P425 しかし第二に、最初に前貸しされた900ポンドの資本価値の二分の一である450ポンドは、順次に貨幣資本、生産資本、商品資本の形態を通過し、同時にたえず相並んで一部は貨幣資本の形態に、一部は生産資本の形態に、一部は商品資本の形態にあったのであるが、この450ポンドが事業Xの循環から分離され、したがって追加貨幣資本として貨幣市場に現われ、追加的構成部分として貨幣市場に影響するであろう。この遊離された450ポンドの貨幣が貨幣資本として作用するのは、それが事業Xの経営にとって過剰となった貨幣だからではなく、それが原資本価値の構成部分であり、したがって資本として作用しつづくべきであって、単なる流通手段として支出さるべきではないからである。
P426 しかし、第三に、生産規模が与えられたものであり、回転速度が不変であり、流動生産資本の諸要素の価格も不変であるばあいに、事業Xの生産物の価格が、下落または騰貴することもありうる。事業Xによって供給される商品の価格が下落すれば、それがたえず流通に投じていた600ポンドの商品資本の価格は、たとえば500ポンドに下落する。したがって、前貸資本の価値の六分の一は、流通過程から還流しない。それは流通過程で消失する。しかし、生産要素の価値または価格は変わらないのであるから、この500ポンドの還流は、たえず生産過程で働かされる600ポンドの資本の六分の五を補塡するに足りるだけである。したがって、生産を同じ規模で続行するためには、100ポンドの追加貨幣資本が支出されねばならないであろう。
P427 なぜ第一のばあいには、回転期間が短縮または延長され、第二のばあいには原料および労働の価格が、第三のばあいには供給された生産物の価格が騰貴または下落するか、という諸原因の研究は、これまでの研究の範囲には属しない。 しかし、次のことは、ここの研究に属すべきである。
一、生産規模が不変であり、生産要素と生産物の価格が不変であり、流通期間としたがって回転期間における変動が生ずるばあい。
われわれの例で前提したところによれば、流通期間の短縮によって九分の一だけ少ない前貸総資本が必要となり、したがって、前貸総資本は900ポンドから800ポンドに減少して、100ポンドの貨幣資本が分離される。
P428 ところで、周期的に3週間のあいだ遊離され、同様に240ポンドの生産用在庫と60ポンドの労働賃金とに分割されうる300ポンドのうち、流通期間の短縮によって100ポンドが貨幣資本の形態で分離され、回転の機構から全部投げ出されるとすればこの100ポンドの貨幣資本に相当する貨幣は、どこからくるのか? その五分の一だけは、回転の内部で周期的に遊離される貨幣資本から成っている。しかし、五分の四の80ポンドは、すでに同じ価値の追加的生産用在庫によって置換えられている。いかにしてこの追加的生産用在庫は貨幣に転化されるのか、またこの転化に必要な貨幣はどこからくるのか?
P429 ひとたび流通期間の短縮が生じたならば、前記の600ポンドのうち480ポンドではなく、400ポンドだけが生産用在庫に再転化される。残りの80ポンドは貨幣形態のままで保持され、そして前記の労働賃金用の20ポンドとともに、100ポンドの分離資本を形成する。この100ポンドは、600ポンドの商品資本の購買〔販売?訳者〕を介して流通から出てくるもので、もはや再び労働賃金と生産要素に支出されないから、いまや流通から引上げられるのではあるが、ここで忘れてならないのは、貨幣形態にあるそれは、再び、最初に流通に投ぜられたときと同じ形態にある、ということである。最初は900ポンドの貨幣が生産用在庫と労働賃金とに支出された。同じ生産過程を遂行するのに、いまでは800ポンドしか必要でない。
P430 この100ポンドは、前貸貨幣資本中の、もはや同じ事業では充用されない一部分であるかぎり、いまでは事実上流通から引上げられている。しかしこの引上げが可能であるのは、商品資本の貨幣への転化とこの貨幣の生産資本への転化、すなわち W─ G ─ W が1週間速められ、したがって、この過程で働く貨幣の流通も速められているからにほかならない。それが流通から引上げられるのは、それがもはや資本Xの回転に必要でないからである。
P432 これまでは、事業Xにおける流通期間の短縮は、Xがその商品を、より速く売るかまたはより速くその支払いを受けること、または掛売りの行なわれるばあいには、支払期限が短縮されることから生ずるものと仮定した。すなわち、この短縮は、商品の販売の短縮、商品資本の貨幣資本への転化 W─ G の短縮、流通過程の第一段階の短縮から、生ずるものとされている。それはまた、第二段階 G ─ W からも、したがって、資本家Xに、その流動資本の生産要素を供給する資本Y、Z等の労働期間なり流通期間なりにおける同時的変化からも、生じうるであろう。
P433 他面では、たとえば原料を供給する資本の労働期間が短縮されるならば(その例は前章で与えられた)、したがって原料更新の可能性もより早く生ずるならば、生産用在庫は、減らされることができ、一更新期から次の更新期への間隔は、短縮されることができる。
P434 二、生産材料の価格が変動し、他の事情はすべて不変であるばあい。
これまでは、900ポンドの総資本のうち五分の四の720ポンドは生産材料に、五分の一の180ポンドは労働賃金に支出されるものと仮定した。
生産材料が二分の一だけ下落すれば、それは6週間の労働期間には480ポンドではなく240ポンド、追加資本Ⅱとしては240ポンドではなく一20ポンドしか必要としない。したがって、資本Ⅰは600ポンドから 240+120=360 ポンドに、資本Ⅱは300ポンドから 120+60=180 ポンドに減らされる。総資本は、900ポンドから 360+180=540 ポンドとなる。かくして、360ポンドが分離される。
P435 三、生産物自体の市場価格に変動の生ずるばあい。
このばあいには、価格の下落によって資本の一部が失われるのであって、したがって、貨幣資本の新たな前貸しによって補塡されねばならない。この売り手の損失は、買い手によって取戻されるであろう。単に偶然の商況によって生産物の市場価格が下落したのであって、後に再びその正常な価格に上昇するのであれば、直接に。また以前の生産物にも反作用する価値変動によって価格変動が起こされたばあい、そしてこの生産物が再び生産要素として他の一生産部面に入り、ここでそれだけ資本を遊離するばあいには、間接に。
逆に、生産物の価格が騰貴するならば、前貸しされなかった一資本部分が、流通から獲得される。それは、生産過程で前貸しされた資本の有機的部分ではなく、したがって、生産が拡張されないばあいには、分離された貨幣資本を形成する。
P436 あるいはまた、価格騰貴が、ただ一時的にすぎないばあいがある。そのばあいに、資本家Xの側で追加資本として必要となるものは、彼の生産物が、他の諸事業部門のための一生産要素をなすかぎり、他の資本家の側では、遊離された資本として脱落する。一方の失ったものを、他方が得たのである。
続く