犬の心臓病「僧帽弁閉鎖不全症」は決して特別な病気ではなく シニア年齢以降の小型犬には軽度~重度まで幅があり大変多い病気です。

服薬で進行を遅らせる内科的治療が一般的。

 

現在、国内で犬の心臓手術ができる動物病院は限られ、移動距離、費用面 術後の経過等考えると簡単に選択できる治療法ではなく、決断までのハードルは高いです。

それでも、10年程前は今ほど一般的ではなかった心臓手術ですが、命と真剣に向き合う獣医師先生方の努力のもと目覚ましく進歩してます。

これから先 手術できる病院が増えこの病気で苦しむ動物達が救われる日が早く来ることを望みます。

 

 

 

3月19日 JASMINEどうぶつ総合医療センター初診

 

 

 

外来担当の優しそうな先生が検査結果を元に詳しく説明して下さりました。

いただいた9ページに渡る説明書より

以下続きます。

 

「僧帽弁閉鎖不全症」とは?

 

 左の心臓内にある僧帽弁に病変が起こり、うまく閉じなくなることで心臓の血流が悪くなる(逆流が起こる)病気。

 

 

 

 

心臓病の重症度

 

 

ステージB2は中程度の心拡大から肺水腫一歩手前までと幅が広く

小麦は現在B2の中で4段階中3位の位置(↓)だそう。

 

 

 

専門医の先生から、詳しく検査した結果

「まだ手術は早いです。薬で調整しながら様子を見ましょう。うまくコントロール出来れば平均寿命位まで生きられますよ。」

の言葉 期待してましたが…

 

心拡大と重度の血液逆流があり手術適応の時期に入っているそうです。

 

 

「僧帽弁修復術」とは?

 

病気で痛んだ弁膜を修復することにより血液の逆流を減らして、心臓の負担を軽減することが目的。

 

全身麻酔後、開胸し人工心肺装置を用いて、心臓の拍動を止め「腱索再建術」「弁輪縫縮術」を行う。

 

 

 

リスクと術後併発症

 

炎症反応、出血、輸血の副反応、薬剤に対するショック、血栓塞栓症、不正脈、三尖弁閉鎖不全症の悪化、心内血腫、神経麻痺、感染症、 その他

 

最も可能性が高く怖いのは、人の手術後と同じ血栓症。

手術後血の塊(血栓)ができ、血管が詰まることがある。

脳なら脳梗塞

心臓なら心筋梗塞

肺なら呼吸不全

後遺症が残ったり時に致死的となります。

 

 

術後併発症について、一つずつ詳しく説明がありました。

どれも具体的で本当にそうなりそうな気がしてくる。

 

現在JASMINEのステージB2段階での術後退院率は97%。

 

再手術になったり、合併症で入院期間が伸びたり、逆流があまり改善されなかった等も含まれての97%。

 

そして残念ながら3%は亡くなってしまう。

3%に入らない保証はどこにもない。

 

ステージC以降になると年齢や持病などの関係もあり退院率は少し下がる。

 

決断は迷いましたが、小麦はまだ9歳。

7歳の病気発覚から始めた薬は病状の進行に伴い年々増えている。

今は元気とはいえ、悪化して肺水腫になる心配をなくしたい。

折角ドッグランに行っても心配でリード付き。

自由に走り回らせてあげたい。

なにより私自身が小麦と少しでも長く一緒にいたい。

 

 

先生の説明は分かりやすい言葉でゆっくり丁寧で、

ここまでで質問ありますか?と一区切り毎に聞いて下さる。

決して 今すぐ手術をした方が良いと勧める訳でもない。

 

実際に手術を決断するタイミングは肺水腫を経験したステージCの子が多いそうです。

 

 

このまま手術せず、

平均寿命位まで生き、「あの時無理して心臓手術しなくて良かった」となるかもしれません。

 

一方 心臓の状態が悪化して逆流した血液が行き場を失い、肺に水分が滲みだす。

利尿剤でうまく排出できないと肺に水が溜まり(肺水腫)陸にいながらも溺れている様な呼吸困難の状態はとても苦しい。

小麦にそんな辛い思いはさせたくない。

 

 

小麦が受診しているJASMINEどうぶつ総合医療センター

症例数、成功率ともに間違いなく日本で一番

そこの上地正実先生は僧帽弁閉鎖不全症手術の世界的な権威で 国内はもとより海外からも救いを求め来るそうです。

そんなゴッドハンド先生の病院は我が家から一時間で通える距離。

 

 

他の病気がなく、体力もあるうちにと思い

覚悟を決めて

手術を決断いたしました。

 

 

ネットの手術経験者の方達は2~3カ月位順番待ちとの情報だったので、夏前に終わればと思ってました。

そしたら一番早くて2週間後の日程だそうでびっくり。

 

手術日は退院後も暫く側に付いていられ仕事の調整ができそうな4月16日にしました。

 

提携病院からの紹介、初診、手術日決定とトントン拍子に進み過ぎて気が焦る。

 

 

 

 

病院待合室壁にある樹木のオブジェ

葉っぱにひとつずつ名前が書いてあり

家に帰ってからを病院のfacebookでその意味を知る。

 

 

たくさんの葉っぱの名前は献血ドナーとして血液を分けてくれた犬 猫さんのものでした。

左下のフワフワした可愛いシルエットは「kuma」

 

 ありがとう

 ありがとう

 犬さん 猫さん

 ありがとう

 飼い主さん

 ありがとうございます。

 

手術する際、輸血の可能性があることは理解してたけど、その先にある善意の温かい世界が急にリアルに見えてきた。

 

怖くて不安で押しつぶされそうな中、優しさにふれ泣きそうです。

 

 

 

来年もこの景色を小麦と一緒に見られます様に。

 

「大丈夫 大丈夫」と自分に言い聞かせ

手術の日までのカウントダウン

心静かに、あと数日を過ごしてます。

 

 

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