ペルーのグアノ〈鳥糞石〉

再び脚光を浴びるときがきた

 

 小麦や野菜の値段が高騰している。戦争で、化学肥料が不足しているからだ。化学肥料がなかったら、人糞という手もあるよな、と考えたりする。江戸時代は人糞が売買されて、化学肥料なんかなくてもちゃんと回っていたんだ。

 亡くなった後輩は賢い子で、プランターでトマトを育てていたが、自分のうんちを肥料にしていた。あるとき、ボーイフレンドが泊まりにきて、手料理をごちそうしたそうだ。

「うまいな、このトマト」

「でしょ? 私のうんちで育てたの」

「……」

 その後、ボーイフレンドとのあいだは気まずくなってしまったそうだが、心のせまい男だと思う。

 私はナマケモノなのでプランターで植物を育てたりしないが、団地の部屋に前に住んでいた人が、いろんな植物を窓の下で育てていたのがそのまま生えていて、初夏には甘いグミの実がなり、窓の柵にはキウイの蔓が巻き付き、白い花がたくさん咲いた。オスのキウイだったので、実をつけることはなかったが。

 グミがとくべつ甘かったその年、下水の逆流という事件があり、犯人は下水管のひびにつまった植物の根っこだった。「もっと、もっと甘い汁を」と栄養のつまった管の中に身をねじこんだ貪欲さがわざわいした。すぐさま下水管の穴はふさがれ、工事で管を新しく交換された次の年から、グミの実は生らず、キウイの花も咲かなくなった。老朽化した下水管から土の中に漏れ出ていた5家族分の栄養がグミの実を甘くして、キウイの花を咲かせていたのだ。

 ネットでガーディアンの記事を見ていたら、ペルーのグアノがいま脚光をあびているということが書かれていた。「グアノ」ってなんだろう?と辞書を引いてみると、

「guano=グアノ。海鳥の糞などが堆積して固まったもの。窒素・リン酸石灰を含み、リン酸肥料の原料。南アメリカ・アフリカ・オーストラリアなどの海岸または島に産する。鳥糞石。海鳥糞。糞化石」ということだ。

 糞化石というくらいだから、石のように固まっていて、人糞よりよっぽど扱いやすそうだ。
 記事を少しだけ読んでみよう。

 

    
 As countries around the world wrestle with shortages of imported fertiliser as a result of the Russian invasion of Ukraine, Peru has turned to a tried and tested 
alternative: bird poo.
 In the 19th century, fortunes were made and lost on guano, the potent 
excrement of fish-eating seabirds which was harvested by enslaved people from 
Africa and indentured Indigenous and 
Chinese labourers....
「ロシアのウクライナ侵攻により化学肥料の輸入が滞って世界中の国々が肥料不足にあえぐなかで、ペルーは化学肥料の代わりになるものに目を向け実用化し始めた。鳥の糞だ。
 19世紀に、ペルーは鳥の糞石(グアノ)により大儲けをしたことがあった。魚を食べる海鳥の栄養豊かな排泄物は、アフリカから連れてこられた奴隷たちや、安い賃金で雇われた貧しい地元民、そして中国から来た労働者たちによって集められた...」
(Guardian,Tue 4 Oct 2022, 「Worldwide fertiliser shortage prompts Peru to 
turn to bird poo」by Dan Collyns in Limaより)

 

 記事には、袋につめた「グアノ」を運ぶ男たちの写真が載っている。グアノは

nitrogen(窒素)、phosphate(リン酸塩)、potassium(カリウム)が豊富で、グアノを巡って19世紀後半には戦争が起きたりもしている。

 Youtubeにグアノのことをわかりやすく説明した映像があったので、貼っておきます。ペルーの乾燥した空気が糞の栄養分を流さないで固めるのに最適のようです。

 

 

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(ネットのニュースから)

 

2022/10/07
・読谷村で4月に敷地内で放し飼いをしていた42kgの大型犬が開けっ放しの門を通って逃げ出し、路上で散歩中の5kgの小型犬を襲いその場でかみ殺したとして、読谷村犬取締条例違反の疑いで現在うるま市に住む飼い主が書類送検された。
(琉球放送)
・若田光一さんらを乗せた民間の宇宙船が7日朝国際宇宙ステーションへのドッキングに成功、8時前に「クリュードラゴン」に入室し、約半年間の長期滞在を始めた。
(NHK)
・新型コロナワクチンの3回目接種を終えた11歳男児が死亡したと厚労省が発表。
(時事通信社)

 

2021/10/07
・松野博一官房長官はモデルナ製COVID-19ワクチン接種後の心筋炎発生の恐れから北欧で若者への使用を中断したことに関し「接種の利益が上回る」と述べた。
・22時41分頃、千葉県北西部を震源とする地震があり、足立区と川口市、宮代町で震度5強の強い揺れを観測したほか、関東南部の各地で震度5弱の揺れを観測した。
・スウェーデンの王立アカデミーは7日、2021年のノーベル文学賞を発表した。タンザニアの作家アブドゥルラザク・グルナ氏に授与された。賞金は約1億2700万円。
 

2020/10/07
・BUCK-TICKの櫻井敦司と芥川賞作家・遠野遥の初対談が本日10月7日発売の文芸誌「文藝」2020年冬季号に掲載されている。櫻井と、2作目となる小説「破局」で第163回芥川賞を受賞した遠野は実の親子。異ジャンルの創作者として互いの表現に迫っている。
・配送センターで廣野真由美さん(47)が殺された事件で、廣野さんが元従業員の筧容疑者と別の従業員のトラブルを仲裁した際に怪我をしたため、警察に相談していたことがわかった。筧容疑者は5日に解雇された。このトラブルが事件の背景にあるとみられる。
・日本学術会議の会員候補6人が任命されなかったことを巡り、岸田前政務調査会長は「理由を説明していくことが大事だ」と述べ、 中谷元防衛相は「総理の判断が正しい」と言い、社民の福島党首は「言論の自由の重大な危機、決定を撤回すべき」と述べた。
 

2019/10/7
・国際芸術祭あいちトリエンナーレ2019で「表現の不自由展・その後」の再開が決まった。7日夜には愛知県庁前で文化庁による補助金不交付問題に抗議する市民集会が開かれており、ニュースが届いた瞬間、市民らの歓声が上がった。
・8月下旬からインフルエンザの患者数が急増。国立感染症研究所によると最新の患者数は4543人と去年の同時期に比べて4倍以上。海外からの観光客がウイルスを持ち込み、エアコンの使用がウイルスに感染しやすい環境を作っている。
・京都アニ放火殺人事件で、重い火傷で大阪府の病院に入院中の青葉真司容疑者が、寝たきりの状態を脱し、座った状態でのリハビリを始めた。今後は歩行の訓練も予定されている。簡単な会話をしているが、逮捕の見通しはたっていない。