「人を殺すには理由がいる。俺には正当な理由があった」
 アトランタのトラップ最前線潜入ルポの第3回目にグッチ・メインが取材されてそう言っている。共同制作者とのトラブルがもとで、4人の暴漢に襲われ、1人を殺して森に埋めた。殺人罪で起訴され、正当防衛で釈放されたが、いまも別の罪状で起訴されている。
「トラブル続きの人生だからこそ、いい曲が書けるのかもしれない」
 と、グッチ・メインについて、プロデューサーのゼイトーベンは話している。トラップのプロデューサーはラッパーのためにビートを作る人だと知る。映画のプロデューサーとは違うのね。ゼイトーヴェンはトラップの礎を築いた人らしい。
「ママ」は潜入ルポのイントロに流れている。しばらくこのメロディーは耳について離れそうもない。