スティングとシャギーの「タイニー・デスク・コンサート」で、スティングの「Shape of my heart」にその一部分をサンプリングしたジュースワールドの「Lucid Dreams」をミックスした曲を聴いたとき、そこにいないジュース・ワールドはどんな人だろうと思った。テレビを持っていない私は知らないが、きっと誰でも知っているとても有名なミュージシャンに違いない。
 パソコンで検索した。ジュースワールドはJuice WRLDと書き、ヒップホップ界の若手スター。本名はジャラド・アンソニー・ヒギンス。1998年生まれ、シカゴ出身。携帯に録音した自作の曲の演奏をSoundCloudに投稿して2015年にデビューした、ということが分かった。そして、昨日も書いたけれど、去年の12月8日に空港で倒れ、21歳になったばかりで亡くなった。
 今日、さらに検索して、死因は薬物の過剰摂取だったことがわかった。彼の元交際相手によると、彼の回りの音楽関係の人たちは彼にドラッグを与え続け、みんな一緒にドラッグをやっていた。心配してやめさせようとしたのは彼の母親と彼女だけだったという。真偽は明らかではないが。
 3月にエミネムがジュースワールドも参加した「ゴジラ」のミュージックビデオを公開している。38秒くらいのところからジュースワールドの歌声が入る。そして、最後にいまは亡きミュージシャンの映像とヴォイス・メッセージが流れる。これは、彼が生きているときに録音されたんだよね。エミネムの曲の制作に協力して。でも、まるで自分が死んでから、生きている私達に語りかけるようになることがわかっていたみたいにもきこえる。そして、ジュースワールドへの「世界を変えてくれて、ありがとう」というエミネムからのメッセージも、あらかじめ用意されていたような錯覚すらおぼえる。もちろんそんなことあるはずないけど。それでも、彼が早すぎる死に向かって歩んでいたことを、彼自身もまわりの人たちも、うすうす気づいていたのではないか。
 エミネムについては、有名なラッパーであることくらいは知っていたが、聴いてみようという気が起こったことはなかった。機関銃のようなラップだな。この早口のスピードに挑戦するコンテストなどもあったらしい。
「ゴジラ」のミュージックヴィデオは歌詞だけが表示されるのもあったが、速すぎて読めない。映像は歌詞の内容に沿っているみたいだ。酒瓶をはさんで向かい合うエミネムともう一人のエミネムの目がヘンな風にぱっちりしているので、薬物で幻覚を見ているという設定なのだろう。最後にエミネムは医師のエミネムに殺される。