さて、舞台は飛んで1969年8月17日のニューヨークはマンハッタンのハーレム地区。アメリカの黒人文化の中心地。その年の同じ時期、伝説となったウッドストック・フェスティバルが40万人の観客を集めて開催されていたが、その場所から160キロほど離れたハーレムでは、「ハーレム音楽祭」またの名を「ブラック・ウッドストック」が開催され、ウッドストックに匹敵する30万人の観客を集めていた。
こんなに盛り上がったブラック・ウッドストックだったが、この年を最後に、翌年からは開催されなくなった。なんでも1970年代に計画段階で詐欺にあったということだ。忘れられていたブラック・ウッドストックだが、去年になって再び話題に上るようになり、去年の8月17日に50周年(!)記念コンサートが開かれたということである。
その1969年ブラック・ウッドストックで、ニーナ・シモンは弾き語りをしていた。「four women」は動画で5分を過ぎたくらいのところから始まっている。フランスで観たニーナ・シモンは自由な芸術家の印象だったが、ここハーレムでは、誇り高く、民族の先頭に立って世の中の理不尽に抗議するリーダーの貫禄があり、力強く、カリスマ的でさえある。彼女が「二度と戻る気はない」ときっぱり別れを告げたアメリカで、彼女は太陽のように輝いていたのだった。
追記:ブラックウッドストックの動画が削除されていた。とても残念だが、とりあえずニーナ・シモンの別の弾き語り動画をアップした。もっとふさわしいものがあれば、また差し替えるかもしれない。
追記2:ブラックウッドストックの一部分だけ(Ain't Got No___I've Got Life)の動画をみつけたので差し替えた。でもまた削除されるかもしれない。そうなったらまた別のに差し替えます。