裁決事例の紹介(法人所得の帰属) | Pure Tax is Pure Beat

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税金の音色も感じたいな♪(´ε` )



法人税の所得帰属を巡った裁決事例です。全文は次。
 http://www.kfs.go.jp/service/JP/61/30/index.html

(1)登場人物

(主演)
請求人・・・本件不服申し立てを行った法人
H・・・請求人の代表者
F社、G社・・・請求人の取引先法人

(助演)
F社G社の従業員・・・審判所である事実を証言した


(2)時系列(請求人の申告した仕訳)

 仕訳A H9.3 減価償却資産/現金 13,700,000円(F社G社より購入)
 仕訳B H9.4 F社G社よりHに計3,000,000円を支給=仕訳無し(Hの個人的取引だから)


(3)税務署の処分した仕訳

上記(2)②の金員に疑念を抱いた税務署が次の仕訳を処分した。
処分不服とした請求人は、不服審判所に対し救済を求めた。

 仕訳C 現金/リベート収入 3,000,000円(H9.3の車両購入によるFG社
                    からのリベート収入)
 仕訳D 賞与/現金     3,000,000円(Hに対する認定賞与)


(4)審判所の下した裁決(仕訳)
 ①仕訳Cについて次のとおり修正しなさい。
 
 リベート収入/減価償却資産 3,000,000円

これは、FG社のH9.3期における他の車両の原価率から考察するとリベート収
入という事実は認定できない。むしろ、車両購入代金の水増しがあったことが
認められる。

②仕訳Dについて
 税務署の主張を認め、認定賞与を是認する。



たった以上の仕訳を巡り、いろいろな証拠が提出され戦っています。


(5)ちなみに提出された証拠

(1)HがF社G社の営業担当者と個人的付き合いが深かった。
(2)HはH名義領収書をF社G社に渡した。
(3)F社G社も自宅の新築祝金であることを認識していた。
(4)F社G社は、謝礼的金員を支出しなければならない希薄な取引関係者ではない。
(5)請求人は、いつも、車両購入に際して極めて厳しい値引交渉をしてる
(6)請求人とF社G社の間でリベート契約はなされておらず、過去にもリベートの
受領した事実はない。
(7)新築祝いとしては社会通念上不相当に高額であるがゆえ、真意は次のとおり
である。
(8)F社G社が請求人との今後の継続的取引を期待したことに起因する謝礼であり、
平成9年3月にF社から10,700,000円で運送事業用車両を、同じくG社から
3,500,000円で運送事業用車両をそれぞれ購入していることが謝礼であること
を物語る。
(9)F社G社の内部資料に(8)の原価決定資料として2,000,000円、
1,000,000円がそれぞれ記載されており、本件金員と偶然の一致とは言えない
こと。
(10)G社はの職員は謝礼的な意味と審判所に対し申述していること。



お客さんの頭のてっぺんからつま先、プライベートから仕事、
得意先の原価率まで...
知ってはいけないことまで知らないと戦えません。
百害あって一利なしのような...

あとがき

仕訳間違っていたらごめんなさい。
裁決も読み切れていないかも。難しいから。
また、「争点主義」って聞きますが、上記のように
仕訳をベースに考えていけば自ずと争点主義に
ならないかなぁ?


けれど、裁決読むのはおもしろいです。