私の創作論(覚え書き)

  なによりもまず、自分自身も、己が創造した世界の住人になりきること。そう信じ込む事が肝要だと思います。
  その瞬間こそ、想像に過ぎなかったものが、あなた自身が日々の生活を営んでいる世界として、確固たる現実としてその姿を顕すのではないでしょうか。
 それは、何もドラマチックであるとか、異様な危機的状況にある世界である必要は無いでしょう。
 あくまで、あなたはその世界に内包されている存在なのであって、神のごとき視座から世界を俯瞰する必要などさらさら無く、極めて穏当な、何か劇的なことが起こればいいなあ、とか心の片隅で思いながら、淡々と日常を送っていく、その様な存在となり得ます。
 そして、その極々あり触れた存在が
見聞きし、感じた事どもを描写するときこそ、
フィクションをして、最大限の説得力としかるべき強度を持って読者をもまた、その世界へと誘う、と言った事を可能たらしめるのではないでしょうか。