どき。


「女心がわかってない。」って風磨くんに言われて

ものすごく胸が詰まったけど


必死に平常心を装って

風磨くんに聞いてみる。



「え?

それってどういうこと。


僕、女子に聞いちゃいけないの?」



すると風磨くんが

腕を組んで まるで偉い大学の先生みたいに

僕たちに説明しだす。



「あのね。相葉くん。

君は、『王子』。

クラスのアイドルなの。


君に声をかけられたくて 

女子全員が待ってるの。


それを君が 

『ちょっと来て?』とか言って

その子だけ呼び出してごらん?


その子どうなると思う?」



「もしかして・・・」


心によぎった暗い予想を話し出そうとしたら

風磨くんが 顰めっ面で答える。



「そう。

その女子は 確実に 仲間はずれ。村八分。

多分 次の日から

女子全員に口聞いてもらえなくなるでしょうね。」




「ひぇぇぇ。こわ。」 と翔ちゃん。


「まじかよ。」と 大ちゃん。


「Oh my God!」と天を仰ぐ潤くん。


「うざ。」と一言 上田くん。



そして僕は口が聞けなくなって

黙ったまま 風磨くんを見つめる。




「じゃ、どうしたらいいんだよ。」


翔ちゃんが、噛み付くように風磨くんに聞くと


「こういうのは 恋愛に関しては

百戦錬磨の俺に任せてくださいよ。

兄貴。」


と風磨くんが胸を張る。




「まず。

本星潰しましょう。


まな かな さな

この3人が肝です。


あとの 取り巻きの女子は雑魚。


まな かな さな を

潰してしまえば こっちのもんです。


他の女子の半分は 

こいつらに辟易してますが

睨まれるのが嫌で 大人しくしてるだけっす。


だから、

この子たちは 俺たちについてくれます。」



風磨くんの分析はかなり正しい。


なぜなら、

あの 目立つ女子たちがいない時は、

他の子は 僕たち男子に優しいからだ。


僕ら 男子も 掃除をサボったり

いいかげんだったりするけど、

この真面目な女子たちは 

僕らを叱りつけながらも 掃除はしっかりするし、

中間先生の授業もちゃんと聞いてる。


女子だからって

全員が 怖いわけじゃない。





「まずは、

まな かな さな という ターゲットをちゃんと知ることです。


それができなければ

この作戦は 成功しません。



このあと、

放課後、作戦会議をしませんか?」



もうすぐ昼休みも終わる。


確かにゆっくり話すのにはまだ時間が必要かも。




すると。


「あ、ごめん。

俺、弟たちの面倒見なきゃだから

放課後はダメなんだ。」


大ちゃんが言い出して



「僕も。

母が1人で家にいるから 帰ってあげないと。」


潤くんが暗い顔をして

目を落とした。










⭐︎つづく⭐︎












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