『ニノ』ね。


焦りながらも、

心の中にメモをする。



もう一人いたのか。

あの potには。



相葉雅紀や、

大野智の名前では

ヒットしなかったが、

その『ニノ』が、五葉不動産や、

この会社の周りを荒らしているハッカーか?



頭の中で、算段する。



それこそ、

ここからは探偵崩れの松本の仕事なのだが、

今は、

俺の顔などみたくもない状態だろう。



さぁ、どうするかな。


考えながらも、

口をつぐんでいると、

雅紀が電話口の向こうで俺に話しかける。





「翔ちゃん。

何かあった?


俺、松本さんにそんなこと言っちゃだめだった?」



「いや、そんなことない。」



本気で答える。

そのことについては、

雅紀には何も罪はない。


これはきっと、

松本と俺、二人の問題なのだから。



それよりも

『ニノ』。こいつの正体が知りたい。




仕方ない。

会社のあの部屋には、

まだ、松本がいるかもしれない。


家に帰って

そいつの正体を一人で探るか。




「ありがと。

雅紀。


声が聞けてほっとした。


今日ちょっと疲れてるから、

このまま会社退勤して、

家でゆっくりするわ。」




「え?

翔ちゃん。具合悪いの?

大丈夫?」




「うん。大丈夫。

きっと、

少しゆっくりしたら、

治るから。


じゃな。」




俺は電話を切ると、

一度会社に戻り退勤の支度をすることにした。









⭐︎つづく⭐︎









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