「ああ、始めたか。」



喫茶店 potの2階。

大野さんと俺の住居部分のところに、

設置してあるモニターを覗き込む。



都心部大通りの喫茶店の2階など、

狭いビルの一室といえど

賃貸料もかなりのものだが、

住居と職場を往復する時間と手間を考えれば、

かえって安いものだ。



それに、

ここなら、ターゲットと近いため、

すぐに行動に移せる。



金になるのは情報だけではなく、

物品や金品でもあるからな。

そちらの方は、

大野さんというプロがいる。



「ニノ。

どうした?」



黙って、モニターを見つめていた俺に

大野さんが声をかける。



「これ、相葉さんの部屋。

櫻井さん、TRAPにかかったよ。」




それだけ話してモニターを指差す。




「ま、そうだろうな。

まぁちゃんには、悪いが、

そうなるだろうなとは思ってた。」





大野さんの見立てはいつも正しい。

その直観は、

きっとこの人がスーパーコンピュータ並の情報を一瞬でインプットして、

的確に判断をくだす頭脳の結果なのだろう。


あまりに頭が早過ぎて、

本人とその自覚がないのと、

その思考の過程を言語化する術(すべ)がないのも、情けなくも勿体無いが、

この人には

そんなことを言っても仕方がない。




「多分、使わなくてもいい映像だろうが、

一応取っとけよ。」



「承知。」



二人でモニターを見つめながら、

囁き合う。




いつも、

大野さんが言っていることだが、

「俺は大体の方向性、

ニノは数値を使ったエビデンスと情報収集。

相葉ちゃんが、実働」

というのは、言い得て妙であるとおもう。


そう言われながらも

相葉さんは、実のところも何も知らされてはいないし

自分の凄さの何もわかっていない。



仕事を終えて

店のある場所が引っ越すたびに

自分の家も引っ越していることの意味もわかってないし



引越しの手伝いと称して、

俺が寝室にこの隠しカメラを仕掛けていることも、


相葉さんに声をかけてくれる人が、

俺らにはとても重要な情報をどんどん落としてくれることも


全ては全く自覚していない。



俺らがハッキングとかでいただいた情報をもとに危ない商売をしていることは、

薄々わかっているだろうが、


大野さんが、夜

いろんなところに金品を拝借に出没してることも知らないし、

自分はただ店のフロアにいて 店の手伝いをしてるだけって思ってるんだ。




pot という店の名前も、

実は 相葉さんの特性からつけてる。


potは、

湯沸かし器という喫茶店をイメージする言葉ではあるが、

裏の意味は 罠。TRAP。


そして、

相葉さんという存在自身は、

人を狂わす honey pot。honey trap.




そう、

このhoney potという英語の意味。


蜂蜜の壺という意味だけではなく、

その麗しい体自身が、周りを惹きつけるやらしく猥褻な蜜壺であり、

コンピュータ用語では、ハッキングや不正なサーバーアクセスを守るための囮のコンピュータシステムのことを指す。



そう、このひと自身が、

魅力的な囮、甘い罠。


リアルな社会でも、インターネット上でも

魅力あるものをひきつけて

堕落させていく危ない存在。


俺らは、

その魔性を利用して上澄をいただいてるに過ぎない。




「さぁ、可愛いうさぎちゃんは、

仕掛けた罠にまんまとかかったし、


こんな他人がいいことしてるの見てないで、

俺たちは俺たちでいいことしようぜ。」




大野さんが、俺の肩を抱き寄せて、

やらしく耳に息を吹きかけるように囁いた。








⭐︎つづく⭐︎







コメントは非公開…

と言いかけたとこで




ちょっと聞いてみます。






このあとの、大宮さんパート入ります?


いわゆる

55.5なんですけど。




つぎのはなしは、

さらっと櫻葉さんにもどりますが、

もし読みたい方いたら、

コメントください。

(コメントは非公開です。)



しかし、

一応言ってるけど、

私が書く大宮さんよ?


わたし、

大宮さんと櫻葉さん、

意図的に

そういう場面の書き方変えてるんで、

ご存知かとは思いますが、



めっちゃ

はげしいよ?



それでもよければ、

ご要望ください。



話の筋には、

全く関係しないんで、

要望がなかったら、

書かんのよ。



(あのね。

こういう場面

好きで書いてるって

思ってる方もいるらしいけど、


わたしは、 

このお話については

お話のSTORYがかきたいので、

お話の筋に関わらないとこは

省いて、

前に進みたいんだなぁ。)



ではでは、

よろしゅうおねがいたします。