「翔ちゃん。」

「雅紀。」



雅紀に連れられて、
雅紀の寝室のベッドに座り、
雅紀が俺の顔を見上げて目を瞑る。



そして、

また、
雅紀に誘われるまま
唇を重ねて、
そして、
また我に帰ったように雅紀に向き合う。




「いいの?」

こくり。

俺の問いかけに黙って
頷く雅紀。


ごくり。
その楚々とした受け身な姿に、
俺の喉が鳴る。



「いいの」などと聞いたが、
なにが「いいの」か?
その問いかけが
何を意味するのか?
自分でもわからない。


ただ
俺の意を諾として全てを受け入れようとする雅紀の覚悟と、
俺になら
何をされてもいいという雅紀の心の大きさだけが俺にひしひしと伝わってくる。


そう。


雅紀の前には、
言葉は意味をなさない。


男同志のこれからの行為に、
何をするべきかも見通しのたたぬまま、
ただ、
この目の前の華奢な麗人を
俺のものにしたいと、
それだけが頭の中を占拠する。



何をすれば良いのかものわからず、


「雅紀。好きだ。」

譫言のように雅紀の名を呼び、
また、
雅紀の唇に自分の唇を押し当て
雅紀の唇を貪れば

「あ。あふ。」


吐息と共に、
雅紀の唇がやらかく溶けはじめ、
体の力が抜け始める。

するりと、
雅紀の唇の中に舌を忍ばせて、
雅紀の舌を突けば、
柔らかい唾液に迎え入れられるように、
雅紀の舌も俺の舌と絡み合う。


「あ。あふ。はうん。」

く。くぅ。

舌を絡ませれば、そこはもう蜜壺のよう。
甘く蕩けて、
俺をさらに快楽にひきずりこむ。


もっと、
体と体を寄せ合いたくて、

唇を味わいながら、
雅紀のシャツのボタンに指を伸ばす。



く。くそ。


キスのあまりの気持ちよさに、
指まで神経がいかずに、
うまくボタンが外せない。



「翔ちゃん。
自分で脱ぐよ。」


唇を離した雅紀が、
まるで、
俺に見せつけるかのように、


自分の下半身に身につけているものも
下に脱ぎ落としたあと、

ゆっくりと、
シャツのボタンをはずして、
はらりと、
足元に落とす。


「綺麗だ。」



あまりの美しさに、
何もできずに
ただ見惚れていると、


「翔ちゃんの服は、
俺が脱がせてあげるね。」


ベッドに座っていた俺のシャツのボタンをゆっくりと外し、
俺の下僕(しもべ)であるかのように、
俺の服を脱がせ始めた。






⭐︎つづく⭐︎







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