「くそぉ
やってられっかよ」


しこたま飲んだ。
そして、最悪な心持ち。

誰も聞く人がいないのをいいことに
マンションのエレベーターで 悪態をつく。



つまんねぇ 女に 
つまんねぇ 仕事だ。


俺の肩にもたれかかろうとしながら
一生懸命話しかけようとする女どもを
がん無視しながら
酒を煽って ただ虚しく時間だけを潰す。


相葉さんに会いたくなかった。
相葉さんに会えなかった。
これからも 
相葉さんのことを探る仕事をしなくちゃいけないのかと考えると
飲んだアルコールがぐるぐると変な形で体を駆け回る。


今日一緒に酒を共にした女と
夜を過ごしても良かったが
おんなじ社内でそんな関係になってもめんどくせぇし
大体ちゃんと抱ける気もしなかったら
さっさと、とんずらこいてきた。


ほんと、最悪だわ。
俺の
俺の居場所はどこにもない。



やはり悪い酒は、
身体中をかけ巡っていたのだろう。
エレベーターを降りれば
いわゆる 千鳥足。



体の平衡が保てず
ボックスステップを踏むように
ふらふらと俺の部屋までの廊下を歩けば、
あれ、

俺の家の部屋に
何か大きなものが置いてある。


なんだろう。
Amazonとか頼んでねぇしな。

首を傾げながら
よろよろと 部屋の前に近づくと



「櫻井さんっ。」


大きな荷物だと思ったものが、
やおら立ち上がり、



「どこ行ってたんですか。
心配しましたっ!」



今 最も会いたくない相手
相葉さんが
俺の首にぶら下がるように抱きついてきた。






⭐︎つづく⭐︎






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