「ああ。
しかし、めっちゃ水浸しだな。」






やっと スプリンクラーの水が ぼたぼたと止まる
惨状と化した11階の指揮室で
翔ちゃん、大野さん、松本さん、ニノと 立ち尽くす。


全ての電気システムが止まったビルの中、
大野さんが口を開く。



「とにかく。
寝るぞ。

考えるのは それからだ。」


「うん。そうだな。
そうするか。
これからシステムの修復や、なんやらで忙しくなるぞ。
ひとまず休まなくちゃな。」

松本さんもそう言い出し
翔ちゃんの顔色をそっと確かめながら
みんなに聞こえないように尋ねる。



「翔ちゃん。大丈夫。
気持ち悪くない?
熱はない?」


翔ちゃんは、
肉体的な疲労ではなくて、神経に変な電気とか接続されて精神を支配されていたんだから
きっと具合が悪いはずだ。


「大丈夫。って言いたいけど。
ちょっと大丈夫じゃない。

横にならせてもらえると嬉しいかな。」

俺の耳に口をつけるように答えた。





・・・



「じゃ、おやすみ。」


流石にニノは、
指揮室では寝たくないと 
9階にある大野さんのアトリエの仮眠室で一緒に寝ることになった。

12階の居室に上がってきた 松本さんは
やはり色々と疲れていたのか、
さっさと 自分の部屋にいく。


残されたのは 翔ちゃんと俺。


「どうする?

別のベッドで寝た方が楽?」


翔ちゃんに向かい合って尋ねると
翔ちゃんは

「雅紀。
ずっと俺と一つになって。
俺を癒して。

俺が生きてるって感じさせて。」


翔ちゃんは俺を抱きしめながら、
耳元で囁く。

そして

真っ赤になった俺の頬を両手で優しく挟むと


「雅紀。愛してる。
一生大切にする。

俺のものになってください。」


そう俺に
神へ誓うかのように唱え
額に そっとキスをした。








・・・


あつい。

うねる。

はねる。



優しい翔ちゃんの手の動きに翻弄され
気持ちいい感覚に流されている。

漂うようなその甘い気持ちよさに



「ああ。」

「あふぅ。」

「気持ちいい。」


浮かされるような 甘い声は
俺の喉から発せられている。


自分の口からやばい声がとめどなく溢れ出るその音さえ
俺の気持ちよさを煽ってくるのに。


「雅紀。
ここ、好きなのか。

覚えておく。
全部雅紀のいいところ覚えておいて
いつも気持ちよくしてやるな。

だから俺以外にこんなやらしい姿を見せるなよ。」


思いもがけず
翔ちゃんのやらしい囁きや
俺だけに向けられる独占欲丸出しの嫉妬に、
完璧で清廉だと思われているだろう翔ちゃんの泥臭い人間性を感じて
余計心も体も燃え上がる。


俺しか知らない本当の翔ちゃん。

櫻井翔という人間の本性。

それを知らしめ、
そして
こんな俺を慈しんでくれるこの行為。


こんな神の恵みとも言えるいやらしくも尊い営みに
夢中にならないやつなんて いない。



「行くぞ。雅紀。

「翔ちゃん、来て。」

指でやらかく甘くほぐされたとはいえ。
そこに 翔ちゃんの熱いものを納めることに恐れを感じないわけではないけど。

この身を翔ちゃんという存在に捧げ、
翔ちゃんに満足してもらうためなら
そんなことなど どうでもよい。


俺というこの身も心も
全てを喰らい
俺を味わい、
俺を貪り尽くして 
俺の世界の上に君臨してほしい。

俺のそこに今すぐにでも自分の一部をつきてたようとしている雄々しい翔ちゃんを見ながら、
心よりそう思うなんて
さっきの狂った保志の気持ちがよくわかる。
そう。この人こそ
俺のマエストロ。
俺という楽器を響かせ、このいやらしい音楽を奏でる指揮者なのだ。



「入ったぞ。」

「あああああああ。」


いやらしいほど熱く
俺を切り裂くような太くて硬い凶器が自分の中に飲み込まれていく。

違和感はあれども、
その熱さが自分の中に飲み込まれていく安心感と期待。
俺の中の
俺も知らない何かが
すごいことが起こるぞと 神経がざわめきながら教えてくる。



「だめだ。
雅紀の中、よすぎる。
動くぞ。」

「翔ちゃん。だめぇ。
俺、おかしくなっちゃうぅ。」

「おかしくなれ。
くるえ。

俺しか知らない雅紀を見せろ。

じゃ。いくぞ。」


同じ律動と
溶け合うような熱さ。
それはまるで Accelerand (アチェレランド)。
だんだん早くなり 終結を迎えるのを予測される。


「あああああああああああ。」

俺が壊れる。
俺の全てが爆発する。
咆哮のような高い叫び。

どこまで俺の身体が溶ける?

果てしのない高まりの中。


「いくぞ。雅紀。
俺もいく。」

翔ちゃんが全てを突き立てると
俺は

「あああああああああ。」

頭の中の宇宙が全て爆発するような快感のあと
闇にしずんだ。





⭐︎つづく⭐︎






このあとは 下で、
 
大宮様の二人の話を プレゼント。

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