がしゃ。がしゃ。がしゃっ。


ロボットは、無情にも

狂気に似た金色の光を目に宿しながら

こちらに向かって襲いかかる。




「翔ちゃんっ!やめてっ!」



腕を抑えてしゃがみ込む俺の声など、

ロボットには届かない。



それでも、

翔ちゃんを信じたいと思って、

そこを動かない俺に、




「どけっ!相葉ちゃんっ!」



俺を抱えていた大野さんが俺を向こうに突き飛ばした瞬間っ。



がしっ。




「くっ。」




大野さんが、ロボットの突きをまともに食らう。





「ほう。このロボットの攻撃をまともに食らって、意識を失わないとは。



この感触だと

おまえ、肋(あばら)の1本か、2本折れただろう。」



保志の声に、




「さぁな。

俺たち、人間ってのは予測がつかないからなぁ。


折れたかもしれないし、

折れてないかもよ。」




「大野さんっ。」

俺が叫ぶとともに、



「なんだっ。これは。」



指揮室のドアを開けた松本さんが

呆然と

立ちすくんでいる。


ああ。MJとの闘いには松本さんが勝利したのか。

MJと松本さんは瓜二つだから、

見た目ではわからないが。

もし、MJが勝利したのなら

この姿に驚きはしないのだろう。


きっと、これは松本さんのはずだ。



そして、


ここより指揮室の入り口に近いオペレーティングシステムの場所に

足を恐る恐る踏み入れると



「ニノっ。大丈夫か」


そこに

ニノが倒れているのに気がつき

抱き起こしてくれている。






「まったく忌々しいやつらめ。

櫻井様と私の崇高な計画を邪魔する害虫め。


そんな奴らは私が駆除してくれる。」





ロボットが睨む。

いや、実際は、

ロボットの中にいる保志の意思だろう。




ということはだ。


ロボットの中には翔ちゃんもいる。

翔ちゃんに叫べば通じるかもしれない。




「翔ちゃんっ。

俺はここだよ。

目を覚ましてっ!

翔ちゃんっ!翔ちゃんっ!」




横から銀のロボットの腕に抱きつけば、



ぴくん。



ロボットがびっくりしたようにこっちを向く。



通じてる?



「翔ちゃんっ。聞いてる?

やめて?

ロボットと一緒にならないで。」



 

「相葉。いいかげんにしろっ。」




ロボットの腕に、振り払われて、

ごつん。


その勢いに、

壁にぶちあたって背中をしこたま打つ。



が、そんなことは言っていられない。



「まずは、お前からだ。

大野。



今度は肋骨とはいわん。


心臓から潰してくれるわ。


死ねっ。」





ロボットの足が、

肋骨を押さえて床に膝をついている大野さんめがけて振り下ろされた。




 


⭐︎つづく⭐︎








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