それにしても そっくりで気持ち悪い。

同じように 両手を前に出して構えをとる。
MJを見て、ものすごく嫌な気持ちになる。


相葉くんは、階段を駆け上って行った。

大野さんは、ニノを、
相葉くんは、翔さんを護るために 戦いに行くのだろう。

俺の大事なものは、
あの二人が守ってくれる。

としたらだ。

俺は松本潤として、偽物のこいつを叩きのめしてやらんとな。



「こいよ。そっくりさん。」


片手を出して手招きをしてみる。

正直、勝てる勝算などない。
きっと 保志は
MJを俺の代わりにするために
俺の考え方の癖なども組み入れてはいるだろうし、
できたばかりで学習が進んでいないとはいえ、
保志のような自ら高度な機械学習を行うAIを組み入れられた人工知能は、
色々場面に検索を行い、色々なパターンを想定するだろう。


そして一番最悪なのは、その重量だ。

普通の蹴りやパンチが通用しないどころか
体術も通用しない。

敏捷な動きはできないとはいえ、
このブルドーザーのような躯体にどうやってダメージを与えるか。


中指を立てて くいくいと挑発をしながら考える。



「誰がニセモノだと?
これから俺がお前を倒せば
俺が 松本潤だ。

松本潤は一人でいい。
俺が、松本潤になってやるから
お前は地獄に沈め。」




「お前こそ。MJとやら。」


そっくりな顔を見つめて言い放つ。


なるほどな。
さっきのMJの言葉で
相葉くんが、ここを戦いの場に選んだわけがやっとわかったよ。


それならば、そのように行きますか。



俺はエレベーターの前から
スポーツジムの中へと飛び込むと
かくれんぼのように トレーニング機器の後ろにと走っていく。




















走る。走る。走る。




「待て。松本。」


待てと言われて 待つバカがどこにいる。


必死に走り抜けると どたどたと
不器用な躯体が トレーニング器具を薙ぎ倒しそうになりながら、
走ってくる。






どたっ。



よしかかった。




MJの足元には トレーニング用の縄跳び。
足にひっかかるように
トレーニング器具の間と間に引っ掛けておいたら
やっぱりしっかりと 引っ掛けて転んでくれる。



これならうまくいくか。


「松本ぉ。」


MJの低い唸るような声を聞きながら
俺はまたしかけるべき場所へと走っていった。




⭐︎つづくく⭐︎




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