「指揮室には ニノがいる!」


目の前に松本さんとそっくりのMJが立ちはだかっているのだが
大野さんにはそんなことは全く関係ない。


「ここは、
任した。」


一言だけ言い残して階段のほうに駆けていく。


「松本さんっ!」


俺が悲痛な声をあげたのを 松本さんが目で制す。



「相葉くん。
俺がここを護る。

相葉君も早く翔さんのところに。」



「え、でも。」



MJは強い。
俺もさっきから何度かやられている。

それに松本さんはさっきまで捉えられて
体力もないはず。
そんな松本さんを一人にしておけない。



「でも、じゃない。

お前は翔さんを守れ。
翔さんは この日本を正しい道へと導く人だ。
それは、
こいつらAIだけの考え方じゃなく
全ての民を守り、救い
一人たりとも、取り残さない大きな愛だ。
そんな素晴らしい人を
AIの傀儡などにしてたまるか。」



そういう松本さんも大きな愛で 大局を見ている人だ。
そして翔さんを心底尊敬し愛しているのだとわかる。



「松本さんは?」


松本さんの気持ちもわかった。
俺もそうするべきだと思う。


でも
松本さんを一人残してこの場を立ち去るなんて。




「俺は、俺とそっくりのこいつを葬り去る。
松本潤は 一人でいい。

俺こそが松本潤なのだと
こいつに教えてやらねば。」



松本さんが燃えるような目で
MJに向かい
MJも松本さんそっくりな姿で松本さんの方に向かって立つ。

それはまるで鏡であるかのようだ。



「わかった。
ここは任せました。」




松本さんに静かに言葉を伝えると
真っ直ぐに階段を駆け上っていった。







⭐︎つづく⭐︎





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