「来たな。保志。」



松本さんが、保志を奥歯を噛み締めるように

ぎりぎりと睨みつける。




「それは、こっちの言葉だ。

虫けらども。


お前らは異物だ。


早く、

この美しいマエストロのシステムから、

排除されろ。」




保志は、

その能面のような美しい顔に、

心なしか闘志が滲む。


それは、AIが持つことのない感情?



俺たちを憎いと感じているのか。

それとも本当に嫌悪しているのか。


としたら、

それはなぜだ。何が原因か?


どちらにしても、

歪んだ感情は正しい未来を導かない。




だまって、保志と横並びに立つMJを

三人で取り囲みながらみていると、


保志が、指揮棒を嬉しそうに振り回しながら、

叫び出す。





「しかしだ。

俺は、こんな虫けらどもに構っている暇はない。


マエストロのシステムを

櫻井翔様に導入し、

全ての支配者、指揮者になっていただければ、

この茶番は終わるのだ。



というわけで、

MJ。


この虫けらどもの排除はお前に任せた。


俺は、指揮室に先に行き、

偉大な支配者 櫻井翔様の誕生を目の当たりにしてくる。」




保志は、当たり前のようにエレベーターの前まで行くと、

エレベーターがまるで保志を待っていたかのように自動で開き、

そして、

すぐに保志がそこに吸い込まれるように入っていく。





「待て!保志!」



俺と、大野さんはその狭い箱の中に滑り込もうとするが、

エレベーターの扉は、

俺らを締め出すようにすぐに閉まり、




俺らとエレベーターの間に、



「おい、虫けらども。

お前たちの相手は俺だ。」





MJが、

仁王立ちで立っていた。







⭐︎つづく⭐︎









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