わん。わんっ。

ぅぁぁぁぅ。

ぐるるるるるるるる。



まるで狂犬のように吠えながら、

じりじりと、大野さんと俺に間合いを詰めるロボット犬。



そして、





「うわぁぁっ。」




一気に俺らに飛び上がる。


そして俺らに向かって

噛みつこうとした時だった。





🎵るる ららるー

 るらり らら…🎵





大野さんが美しい声で即興の歌を口ずさみながら、

踊り出すように、

飛びかかってくるロボット犬をかわす。





いや、それは踊りというものではなく、舞。


こんなさなかだというのに、

嬉しそうに楽しそうに、

優雅に鼻歌を歌いながら、

ステップを踏み

ひらりひらりと飛びかかってくる犬たちを次々に交わしていく。






「わ。綺麗。」




俺さえも,見惚れる中。



ぱた。ぱたり。




飛び交うロボット犬が、

一台、一台と、

その場で立ち止まり、






きゃん、

きゃん。きゃん、わんっ。




今度は逆に合いの手を入れるかのように、

可愛らしく大野さんの歌に合わせて、

鳴き声を出す。





「いいこだ。


知ってんだろ。



俺は、お前らに害をなすやつじゃねえって。」





くぅん。

くん。くん。



舞いながらも、にこりと笑いかければ、

まるで わかったというようにロボット犬が

床に

一台一台腹を見せて寝そべっていく。





「うわ。すごい。」




ロボットなのに。

言うことを聞かせられるなんて。


思わず、感嘆の声を上げると、






「すごくねぇよ。

ロボットとはいえ、

こいつは俺とずっと一緒に働いてきた仲間だからな。



AIだかなんだか、知んないが

俺がこいつらの仲間だって

わかるんだろ。」






片膝をついて

ロボット犬の腹を撫でてやりながら、

大野さんが笑う。





「じゃ、俺、

指揮室行ってくるわ。」





ひとしきり ロボット犬の腹をなで

そいつらが俺らに服従の意思を伝えたとき、


大野さんが、

すくっと立ち上がり、

上の階段を登ろうとする。




「俺も行く。

保志と、MJとは、

一人じゃ無理だ。


大野さん、

一緒に戦おう。」




大野さんと一緒に行こうとすると、

大野さんがにやりと笑う。





「え、それは違うぞ。」





「ふぇ?」




なんでかを聞こうとした時だった。




「俺はな。

ニノと二人っきりで、

ヤらなくちゃいけないことが、

あんのよ。



悪いけどさ。

相葉ちゃん。



一人で保志とMJ、

引きつけておいて?


その間に、俺、

ニノとヤることヤってくるから。



じゃあな!」




ひょい。


大野さんが、

ちょうど 階段を降りてきた保志と、MJの前に、

俺を押し出す。




「あ!相葉。みつけたぞ。

待てっ。」


保志が俺を指差すと、


「アイバ カクゴシロ。」


カタコトの日本語でMJが俺に向かって走り出す。



「まじか。」



俺がまた、

階段を下にむかってかけだしたとき、



…じゃあな…



大野さんは

声には出さずに、口の形だけで俺にそう言うと、


ひらひらと手を振って、

階段の上へもするりと

音もせず駆け上って行った。







⭐︎つづく⭐︎











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