走る。走る。走る。



恐怖と闘いながらも必死に階段を駆け降りていく。



後ろから向かってくるのは

保志とMJ、

2台のアンドロイドの重い機体の足音



どすん

どすんと階段を響かせる

明らかに人のものではない重量の足音は

高度のAIを組み込んでいるが故に、

通常の人間の速さには劣っていることは明らかだ。




しかし。



「逃げられると思っているのか。

相葉。



このビルの全ての装置は

我がマエストロの意のままだ。


このビル自体がマエストロなのだからな。

逃げられるはずがない。」




保志の声が階段の上から響く。



ここまで来ればどうにかなるか。



指揮室のある11階から、

音楽フロア10階、美術フロア9階 そして 劇場のある8階まで駆け降りてくる。



あの

ロボットの異様な触手は、

流石にここまでは伸びてこない。


はぁはぁと

劇場の座席の間を潜り抜け

ステージに上がって隠れる場所を見渡した瞬間。




ぴかぁぁぁぁ



スポットライトが眩しく俺に当たり

あまりの眩しさに腕を上げて顔を隠す。




そして劇場に響くニノの声。



「相葉雅紀。

隠れられるとでも思っているのか。


このシステムは私が操作しているのだ。

お前の位置など丸わかりだ。



保志様。

相葉はここです。

早く捕まえてください。」






それは

今から演劇が始まるというかのような 

まるで艶やかに勝ち誇ったような場内アナウンス。




「くそ。」



スポットライトがまるで

俺を探すサーチライトのように

鮮やかに逃げまどう俺の姿を照らす。



どこか、電気やAIに頼っていない場所はないものか。



俺は、

劇場内に駆けつけてくるロボット犬を遠くに見つけ、

座席の陰に隠れるように

劇場内を走り抜けると


また階段を降りていった。







⭐︎つづく⭐︎










再掲


「マエストロ ビル」の構造は次のようになっています。

(一度物語内で紹介していますが、

わかりやすいように 再掲します。)





地下 機械制御室  夜間 保志が充電しているところ


1       エントランス  最初 ロボット犬を連れた大野さんと会っています。


M2   吹き抜け

   ロビー


3       来客対応用 会議室 


4       警備フロア 警備員常駐場所 いわゆる普通の管理室もここです


5       フリーアドレスの一般職員執務用会議室


6     スポーツジム プールもあります


7     カフェテリア カフェテリア勤務の方は通いです でも、調理器具はオール電化。なおかつ自動調理で人件費削減


8     芸術フロア 演劇・総合芸術  劇場(今の話の場所)


9     芸術フロア 美術  大野さん用アトリエ


10   芸術フロア 音楽 練習室等があります スタジオも


11    指揮室   二宮さんの居室もあります  櫻井翔氏がロボットに囚われている場所


12   櫻井居室  松本さん相葉さんもここに住んでいます お風呂とキッチンもあります


13    櫻井執務室 所長は櫻井さんですが 松本さんは事務所のCEOとしてここにCEO室も持っています。



今後ビルの構造も出てくるので参考まで







コメントは非公開です。