「おはよ…」


朝起きたらすでに翔ちゃんは、

ベッドの中にいなかった。





「あれ?どうしたんだろう。

何かあったのかな?」



ベッドには、

まるでスポットライトのように煌々と光が当たっている。


また、停電というわけでは

無さそうだ。




「翔ちゃん?


どこ…?」




12階の俺たちの居住フロア。

翔ちゃんの名前を呼びながら、

探し回ったけどどこにもいない。



それどころか、

いつもだったらすでにキッチンや、ダイニングで

朝ごはんを並べている

松本さんもいなくて、



どんどん不安だけが募ってくる。




「しょ、櫻井さーん。

松本さーん。」



松本さんの前で翔ちゃんと呼ぶのはまずいだろう。

それにもう、

執務に入っているのかもしれない。



ビジネス用の呼び方で、

二人の名前を呼び続けても返事はない。








「そうだ。

もしかしたら、

11階のニノの『指揮室』でシステムが回復したのを見てるのかも。」



翔ちゃんも、松本さんも、

ワークライフバランスとかで、

朝は、13階の執務室に行かないはずだ。




きっと、そうに違いない。




翔ちゃんがいない。

それだけで、なぜ、こんなに不安なのだろう。


一生懸命、心を落ち着けながらも、

暗い階段を降りていく。



「櫻井さん、松本さんいますかー?


ニノー。

システム直りましたぁ?」




わざと明るい声を上げ、

『指揮室』の ドアを恐る恐る開けると、


そこには不夜城のように光に煌々と照らされ

レーザービームがあちらこちらに意思を伝達するかのように

いろいろな光を帯びて飛び交っている

異様な光景が広がっている。




え?

なに?



目を凝らしながらも

遠くにいつものゲーミングチェアに座って、

キーボードを叩いているニノを見つける。




「ニノ?

なにこれ?

 

システム異常?


そうだ?

大野さんは入れるようになったの?」




ニノが、

首だけの反動で

ゲーミングチェアをくるりと回して、

こちらを振り向く。



「大野?

なにそれ?



それよりみろよ。


ほら、

完璧な本物の『マエストロ』様が、

やっと降臨された。」




ニノの指差す方に、

さっきから飛び交ってた色とりどりのレーザービームが一点に集まった、









⭐︎つづく⭐︎







WHO IS THE REAL MAESTRO?
















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