「直った?」


お昼のサンドイッチを持って、ニノのところに訪ねていく。





このビルの中へ入る生体認証が効かなくなって

はや半日。


外から誰も入れないってことは、

警備の大野さんどころか、

カフェテリアの職員も、ジムのトレーナーさんも

事務所で働く職員の人も入れない。


つまりは、

この中にいる人間は、

翔ちゃんと、松本さん、ニノ、そして俺の4人だけなのだ。





「うー。

もう少しで直りそうなんだけどさ。


こいつの機嫌が治らなくて困ってんだよ。


食うもん持ってきてくれたのは、たすかるわ。」



サンドイッチを手にしながら、

キーボードを片手で打ち続ける。




「うま。

これ、まっさん、作ったの?」



ニノが、

モニターから目を離さずに、

聞くので、



「いや、

俺が作りました。」




「道理で、

ジャンキーな味だわ。」




持っていったのは、

マヨネーズたっぷりのたまごサラダ。

ハムも使って、

めっちゃ高カロリー。




「まっさんが、作ったんだったら、

もっと野菜が多めだったり、

薄味だもんな。


こういうの食べたかったんだよな。

ありがとね。相葉さん。」




「ありがとございます。」



そう言いながらも、

松本さんのことを思い起こす。


なんか、今日は朝から変で、

さっきも、


「お昼どうしますか?」

って聞いたのに、


「いや、

今はいい。」


って、

翔ちゃんと、保志さんとで

仕事してる。




松本さんは、ああ見えて気配りの人だから、

食事とか、休憩とか、

いろんなことに気がついて、

他人の世話を焼く人なのに。




なんか朝から機嫌が悪いんだよね。



ほんと、ニノじゃないけど、

機嫌直ってくれないかなぁ。




思ってることが顔に出てたんだろう。




「天下の松本潤もこの事態に焦ってんだろ。



まっさんの機嫌も、

このシステムも

たぶん、もうすぐ直るよ。


この天才二宮和也にかかれば、

なんてことないって。



安心してな。」





ぱちんっ。

ニノは、あまりに美しいウインクを決めると、

俺に笑いかけた。











⭐︎つづく⭐︎








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