いつからそこにいたのだろう。

そして、

いつから この事態のことがわかっていたのだろう。


あまりの仕事の速さにびっくりしながら、

ただ茫然として松本さんの方を見つめる。




「潤。流石に仕事が速いな。」


松本さんは、緊急事態にはいつもこんな感じなのか。

びっくりしつつも当たり前と言うようにとらえている翔ちゃんにも驚きながら、

松本さんの方を改めてみると、

松本さんは淡々とした感じでこちらに話しかける。



「私のやるべきことをやったまでです。

システム回復は、本職に任せて、

私たちは私たちの仕事をしませんか。



朝食を作りますから

一緒に食べましょう。


お二人とも着替えたらすぐにこちらに来てください。」



松本さんが冷静に翔ちゃんと俺を代わる代わる見ると

そして、

キッチンへと向かっていった。





・・・






松本さんを手伝おうと

慌てて着替えてキッチンへ向かうと

松本さんが丁寧な手つきでサラダの野菜を切っているところだった。


トマトも、正確に中心角60度で6等分。

こういうところに性格って出るのかも。

俺が切ると中心が微妙にズレてるから

同じ6等分でも大きいのとか小さいのとかできて

盛り付けする時に困るんだけど、

これならきっちり 同じ大きさだ。



「松本さん。何、手伝えばいい?」


エプロンの紐を後ろでに閉めながら、

松本さんの隣に立とうとすると



「お手伝いはいりません。」


当たり前のように断られる。



あれ、俺なんかしたかな?

もしかしたら、櫻井さんのベッドで一緒に寝てたのがまずかったのかな。

それでも、何にもしてないし、

松本さんには、一緒に寝ていることも見られていないはず。



「相葉さんは、

そこに座っていてください。


あとは私がやります。」


やっぱりどこかよそよそしい。

いつもだったら、鼻歌歌ってたり、

嬉しそうにフライパン振ってたり、

俺にも手伝わせてくれるのに。



「わかりました。」



俺は、翔ちゃんと食器やカトラリーを並べながら、

松本さんの機嫌がなぜ悪いのかをずっと考えていた。






⭐︎つづく⭐︎






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