「じゃ。俺、ゲームしに帰るわ。」


食事も終わり、
みんなで後片付けがおわると、
ニノが手を振りながら、
下のフロアに下がっていく。



なにしろ、
ニノの趣味はゲームで、
あの基地みたいなPCの他にも、
部屋にもゲーム用の馬鹿でかいPCがあるらしい。



そんなPCばかりに付き合うなんて、
俺には、
想像し難いことだ。




「では、私は、
先に風呂に入らせてもらって、
寝かせてもらいますね。」


松本さんも自室に戻っていく。



このフロアの奥には
温泉のような大きな風呂があるらしい。


お風呂好きな俺にはありがたい。


しかし、これから俺はどうしよう。
残された櫻井さんの方を見ると、
櫻井さんが、
きゅっと おれのシャツの裾を掴む。



「もうちょっと一緒に話そうよ。
相葉くん。」


「あ、俺でよければ。」


願ったり叶ったり。
俺も櫻井さんとは、
正直離れがたかった。


自分に与えられた仕事上、
この櫻井翔という人の考え方や、
ことぱづかいが知りたかったのもあるけど、

とにかく、
この人と話してたかった。
この人のことが知りたくて、
引き寄せられるように一緒にいたかったんだ。



「面白いよね。」

櫻井さんもソファの隣に座りながら、
話しかけてくる。



「え?何が?」


何が面白いんだろうと思って、
聞き返すと、


「ふふ。相葉くんといると、なんかおちつく。
昨日、初めてあったのにな。

なんか、おかしな感じ。」


「くふふ。
そうですか?

俺、なんの変哲もない凡人ですよ。」


お酒も回ったのか、
くふくふと嬉しそうな隣の櫻井さんを見つめると、

櫻井さんが、
俺の肩にもたれかかりながら、
話し続ける。



「そんなことないよ。
相葉くん。

相葉くんといると落ち着く。
癒される。

そうだなぁ。
いつも気を張っていて、
強がっていて頑張ってる俺が
溶かされて、
すうぅと力が抜けて、
本当の自分になれる気がする。

なんか初めて会ったのに、
はじめてじゃないっていうか、
昔から知ってる感じっていうか、
俺のことわかってくれるって気がする。」



「くふふ。
それは、それは。

そう言ってくださると、
光栄です。」



「そんなふうに茶化さないでよ。
俺さ。本気で言ってるんだから。」



櫻井さんは、
話しながらどんどん俺にもたれかかって、
ずり落ちていく。


「ふふ。
相葉くんといると、気持ちよくて安らぐねぇ。

ねぇ
相葉くんじゃなくて、名前で呼んでもいい?
雅紀って。」


「くふふ。
いいですよ。

好きなように呼んでください。」


どんどん気持ちよさそうにずり落ちていく櫻井さんはとうとう俺の膝を枕にして、
ソファに横になってしまう。


「まーさーき。」


「はいはい。櫻井さん。」



「まさき。
きてくれてありがと。」






くぅ。くぅ。くぅ。


ふと気がつくと、
櫻井さんは俺の膝枕で
まんまるくなって寝てしまっている。



「くふふ。
かわいいなぁ。」


俺は、
寝ている櫻井さんの柔らかい髪の毛を、
ゆっくりと撫でながら、
櫻井さんの寝顔を見つめていた。









⭐︎つづく⭐︎






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