外から見上げたビルは 
にびいろに光る流線型。

時折光があたった場所が、
きらりとシルバーメタリックに輝き
それだけでもお金のかかった最先端のビルだと分かってはいたが、

一歩中を踏み入れると、
それは、想像以上。





うう。わんっ。わん。わん
ううう。ぅわんっ!





足元に吠えつくのは機械音がかすかに混じる機械の犬。
俺に飛びかからんばかりの
十数匹はいる銀色のロボットに怖気付いて

「うわっっ。」

思わず退くと、
黒いベレー帽を被った人が近づく。





「すみません。
見知らぬ方には、警戒するようにプログラミングされているので。
社内のものやお取引様等の顔は、
インプットしているので
このようにはならないのですが。

あの。
私は警備主任の 大野と申しますが、
こちらになんのご用ですか?」

警棒を手にして
黒い警備服に身を包みながらも
そのベストは防弾のもの。

そこにぶら下げてんのも
多分、銃のホルダーだろ?


おいおい。
総理大臣のSPだってこんな物騒な格好してねぇぞ。





少し怖気づけながらも
自作の名刺を手にしてご挨拶。


「本日。事務所の方に呼ばれた相葉雅紀と申します。
ここ、MAESTROっていう事務所ですよね?

ここで、お仕事をさせていただけるかの面接に来ました。」


初めてのご挨拶ならこんなものか。
知っている敬語を総動員して答えると、
大野と名乗った警備員がかすかに笑う。



「あ。作家の方ですか。

なら
私が、最上階までご案内いたします。」


作家?
最上階?

俺はただの文字起こしのバイトではないのか?
わけがわからないまま大野さんの方を見ると、



「 STAY!」


一言つぶやくように大野さんが、
機械の犬に命令を下せば、
ロボットの犬たちはまるで従順にその場で大人しく座り込む。




なんなんだ。ここは。


俺はあっけに捉えられて、
大野さんに導かれるまま最新機械が装備されたビルの中へと進んで行った。






⭐︎つづく⭐︎








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