小さい頃から
人と話すより、本を読む方が好きだった。

口ばっかりで独りよがりで
嘘つきの周りの大人より、
本の方がいろんなことを教えてくれて、
いろんな人生を体験させてくれた。



親の人生だって、
自分の人生で。

俺がおんなじ人生を歩むわけじゃない。


そんなことを小さい時から
考えて育ってきたせいで、

リアルな世界の友達もいることはいるけど、
嘘くさい
薄っぺらな付き合いで、
本当に信じられるのは本だけだった。



今ならきっと
望まなくても湯水のように流れ込む
嘘つきなネットの世界の中だけしか
生きられなかったんだろうけど、
ちょっと早く生まれたおかげで、
本という自分が選択できる情報だけで過ごすことができた。



おかげで、
いろんな情報を自分で取捨選択して、
信じるものを選ぶこともできているのは
歳をとっていることの
唯一の良かったことかもしれない。




そんな俺が、できることなんて、
結局
自分の考えてることを、
紙やスマホの画面に文章として打ち込むことぐらいで、
いわゆる フリーライターや、
放送作家の見習いとして生きてるのは、
至極当たり前のことだろう。


ただ、
作家や、脚本家として、
きちんと暮らしていけるのは、
名を馳せた一部の人だけで、
俺なんかみたいな物書きの端くれは、
バイトや、
派遣会社員としてどうにか生活をしのぐこととなる。




今日も、
かっこいいビルの下。

ビルを見上げれば
この屋上とやらに、
文字起こしのバイトとして雇ってくれる事務所があるらしい。


文字起こしなどという創造性のない文章書きは、
つまらないけれど、
かといって、
俺には生業を選べる余裕すらない。


「さ、いくか。」


ビルを見上げて、
そのあと、ため息を一つ地面に吐いて、
自動ドアの中に足を踏み入れた時、
俺は、
このあと、一生が変わってしまうなんて
全く思ってはいなかった。






⭐︎つづく⭐︎








ひとまず、
思いついたまま、
リハビリのため、
中編始めます。


読んでくださると嬉しい。


コメントは非公開です。