「ん。」



食事を櫻井さんと、松本さんの目の前に置いたあと、

カウンターから二人を見ていると、



櫻井さんが目の前の『大人のお子様ランチ』を口にした後、 

軽く首を傾げる。



あれ?


うちでご飯食べてる時と違う。



カウンターの中に、入っていたのに、

思わずカウンター越しに覗き込んじゃう。




「うん。うまい。」



さっきのちょっとした躊躇いのあと、

嬉しそうにスプーンでオムライスをすくって、

口に頬張る櫻井さんは、

いつものよう。


良かった。


なんか、

変なものが入ってたりしたか、

口に合わなかったのかと

思った。




でも、

マスターの大野さんが作る食事だもん。

どんな食事でも、

美味しいに決まってるでしょ。





美味しいものは人を笑顔にする。




二人が、楽しそうに喋りながら、

ランチを食べ始めたのを目で確認して、

俺も、

バックヤードに戻る。





「いい人そうだね。櫻井さん。」



「うん。」



大野さんの問いかけに、

少し恥ずかしくなって 俯いて答えたけど、



奥にいるニノは、

目に光をともしながら、

二人が食べているところが映ってるモニターを睨む。



「やっぱり、そうでもなさそうよ。

この二人。」




「え?どうして、そんなこというの?

ニノちゃん。」




慌ててモニターを睨んでるニノに聞くと、



「いま、盗聴器とか全部切ってるからさ。

唇の動きを読むしかないんだけど。


二人とも一切仕事の話しないんだわ。


この人たち、

ついこないだ、おんなじ日に異動してきたばかりだよな。

それが、こんなに仲良くお互いの話してるのおかしいって。



やっぱり

この人たちが、俺らの敵さんだわ。


さ、どう料理してあげようかね。」




ニノの瞳が嬉しそうに輝いた。






⭐︎つづく⭐︎








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